2012-04-22

沁み

梅雨ときの布団はやけに湿る。

ベッドに横たわりながら、あぁ、ベッドは濡れないんだ。なんて今更ながら思う。


あの日、あの湿った布団の上で私とあなたは見つめ合う。

布団の裏側は濡れて冷たいのに、私たちはそんなこと気にせずに抱き合って

汗をかいては布団から抜け出し、体を冷やしてはまたくっつくを繰り返す。


あと2ヵ月で梅雨がくる。

もう、布団を濡らすことも布団で抱き合うこともない。


あれから何回雨が降ったのだろう。

ベッドにしたいと言ったのは私だった。

布団で寝ればあなたを思い出すから。昔の私はなんて愚かなのだろう。


昔の私はなんて愚かなのだろう。もう一度あなたを思い出したい。

あなたのにおいを

あなたの温度を

あなたの肌を

あなた言葉


雨が降っても流れない。


あの、布団の裏側についたシミのように

心の裏側に今も大きなシミがついている。

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