2010-12-23

淡々と、淡々

僕の学年は今ほど就職が厳しかった訳じゃないが、

学歴も後ろ盾もないために殆どがブラックに入った。

早目から準備しようと、3年生の冬から準備しだした僕らは、

基本情報資格をとって何とか文系エンジニアの職を得たのだ。

しかし、僕らのようなFラン卒を採用するのは、

人間力教育力といった数値化しない良く分らない力を掲げる会社だった。

秋に一度集められた時、数冊の本を指定され、春までに全て目を通すように言われた。

それと、12月から週5日で中途採用扱いの新人研修というものが行われることになった。

研修内容は新人一人に付き先輩一人が教育係として割り当てられ、

課題のデキを競わせるというものだった。

残業代はでない。毎朝1番に争って出社し、掃除にせいを出す毎日。

同期との関係もぎすぎすしたものだった。

でも学歴経験も無い僕らはどんなに会社おもちゃにされても辞めない覚悟があった。

4月になると、僕は営業兼SEとしての仕事をこなす事になった。

職場の半分以上が派遣エンジニア専門学校でたてのエンジニアばかりだった。

軽薄な人間関係繋ぎながら自分の業務もこなす。

僕はSEが良く自殺する理由がなんとなく分り始めていた。

GWも盆も僕らは休み無く働いた。

秋になったころ、

僕らの同期は半分になっていた。そして僕もこの業界を去る事を考え始めていた。

サービス残業が非常に多くなった事と、プライベートが上手くいかず、

仕事に全てを捧げることに疑問を持ち始めたからだ。

そんな社会人一年生にありがちな僕をみて、

何かを感じ取ったのか、一番仲のいい先輩が呑みに連れ出してくれた。

僕は会社に入って、行事としての飲み会以外で社員と呑むのは初めてだった。

とても嬉しかった。

先輩は高校をでてからソフトウェア会社に入って、その後転職を何度も繰り返していた。

僕は大卒高卒に使われていることをネタにされ、

不快な気持ちになったが、

先輩がどうやら僕を勇気付けてくれていることに何と無く気づきしかった

僕はその冬、契約更新の書類を提出した

実は僕は正社員はなかった。入社式の直前に試用期間1年の契約社員であると言われていた。

断る権利の無い僕らは会社のその申し出に甘んじていた。

試用期間1年をさらに1年延長する契約書。僕は疑問を感じながらも

次の仕事のあてもなく、印鑑を押した

会議室をでるとある先輩にすれ違いざま、肩を当てられた。

とっさのことだったので僕は転倒してしまった。

彼は何も言わずに舌打ちをするとそのまま客先に出かけていった。

あとで知った事だが、僕を呑みに連れて行った先輩と僕が辞めるかトトカルチョをしていたようだ。

僕が仕事で手に入れたものは何なのだろう。

  • 会社自体、新人を中途採用扱いで採用し、試用期間1年間でもう一年は契約延長って突っ込みどころがあり過ぎる。 契約書よく読んだら正社員ではなく契約社員としての採用な感じするな...

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