2010-11-23

米国債金利が上昇していることについて。

米国債投げ売り状態となっていた為である。国債を持っていた人が現金を選好したわけで、それ自体は、喜ばしいことである。TPPが成立すれば、アメリカ産業が立ち直る、ならば、その株を今のうちから買い漁っておいた方が良くなるというのが、メインシナリオであろう。サブシナリオとしては、QEが続くならば、貨幣価値の下落率(購買力平価の低下率)は、国債金利を上回るので、インフレに対して中立的な実物資産財産を移しておいた方が良いという考え方となる。

つの理由から、国債を売って現金を買い、その現金で株を買うという投資行動が出てくる。

メインシナリオについては、TPPの実現は遠のいた事から、株式への資金流入の勢いは止まるであろう。問題は、サブシナリオの方である。QEが続く限り、現金よりも、キャッシュフローがある企業株式を持っていた方が、インフレによる資産の目減りを避けられる。

不景気デフレーションという状態であれば、国債が一番安定した投資対象となる事から、多額の財政赤字を抱えていても低金利ファイナンスが出来るのであって、不景気だけどインフレーションという、いわゆるスタグフレーションの状態では、国債への投資インフレ率の方が金利よりも高くなることから、不利な投資となってしまう。国債金利が高騰すると、新発国債金利を上げなければならず、しかも、金利を上げたからといって、完売するとは限らないとなる。財政赤字の借り換えが出来なくなるわけで、スタグフレーション下で増税・緊縮財政となり、雇用消失が止まらなくなるという、最悪のシナリオへと展開してしまうのであった。

TPPは進展しないが、株を買ってしまったとなると、企業活動を活発にして利益を上げてもらわなければならなくなる。その、一番手っ取り早い方法は、デフレ輸出の元凶を焼き払って消滅させる事となる。

デフレ不景気という状態を続けることは出来ないし、新技術・新製品市場を塗り替えて需要を発生させて経済を回すという平和的な方法は、新技術・新製品が出てくるという偶然の幸運に依存しなければならない。

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