2010-10-09

結婚したいと思った。

最近周りの人たちが次から次へと結婚していく。20代前半から30代後半まで独身者が既婚者になっていく中で、まぁそのうち時期が来れば自分もと思いながら気に留めずにいた。正直、一人でいることにはあまり苦はない。他人と暮らすことは楽しそうだとは思うけれども、それよりも日々のめんどくささのほうが圧倒的に大きいことを知っているからふんぎりがつかない。だいたい結婚とかその前に相手がいない。できる気配もない。

昔、一度だけ結婚しそうだったことはある。この間ぽろっと親しい人と飲みながらその話をしてしまって、あの時の感覚がよみがえってきた。ずいぶん昔とはいってもたかだか四年前だから残っていてもおかしくなかったのに、ずっと忘れたふりをしていただけなんだろう。

意外に苦労してるんだね、と言われて薄く笑うことしかできなかった。言われてみればその通りだ。あの時は婚約破棄をしたわけだし、まだ言ってないけどそのあと別件で鬱にはなるし、過労で死にかけたこともあるし、自殺未遂もある。殺されかけたことだってあるし、極貧生活に絶望していたこともある。それが今はただの平凡なサラリーマンだ。平凡なサラリーマン生活を送っていることの方が不思議でしょうがないくらいなのに、なぜかそのことを忘れていた。まだあのころに壊した体は元に戻っていないし、精神の状態だって危ない橋渡りながらという感じなのに、どうしてつらいことを忘れていけるんだろう。どうして何もかも、知らなかったふりをして生きていくことができてしまうんだろう。あの時、つらかったんだった。

なんとなく笑ってやり過ごしていたのに、なぜか急にふっと結婚したいと思った。誰かと人生を分かち合いたいと思った。ただ少し、そのつらさを分け合う人がいれば、大変だったんだねとか苦労したんだねとかその言葉一つだけで、この重い荷物だっていつか本当に忘れていくことができるし、背から下ろすこともできるだろうと、なぜか根拠もなく思った。

でも、熱い湯につかりながら酔った頭で考えていたんだ。この生活を変えるきっかけがない。出会いもない。変わっていく予感が全くない。きっとまだ結婚できないんだろう。相手もできないんだろう。自力でこの荷物を背から下ろさない限り、だれとも出会えないんだろう。

結婚したいなぁ。

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