http://oshiete.goo.ne.jp/qa/630950.html
まずこの設計屋さんがそもそも間違っているのは、この人がアクティブサスと言ってるのはアクティブサスではありません。
「リアクティブサス」です。外的要因に対してメカが反応して調整する仕組みです。つまり、
タイヤに対して強い力がかかる→サスが急激に沈む→ストロークセンサーが感知→油圧を調整する
とか
ロールする→ストロークセンサーが感知→一定の車高になるようにサスの全長を調整する
とかな感じです。
アクティブサスペンションとは自分がこれから走る路面に応じてあらかじめ(目指すところはタイムラグ0で)これらの調整をすることです。
もちろんバブル時代に発売された一部トヨタ車等に採用された自称アクティブサスペンションは全てリアクティブで、しかも制御がいまいち過ぎて市場ではすごい酷評でした。私は実際に乗る機会はありませんでしたが。
(このころのトヨタのサスペンションはリアクティブサスだけではなく全般的に良くなかった。ボディやエンジンはすごく良いものだったのですが)
自動車メーカーの取組みとしてはメルセデスとかがレーダーでこれから走る路面を読み取って動作するアクティブサスペンションを開発していましたがいつのまにか話題に上らなくなりフェードアウトしましたね。
まぁ市販車の場合はどんなところ走るかあまりにも予想できないのでアクティブサスは難しいのだと思います。
ではリアクティブサスはなぜ搭載されないのか?
まずはアクティブサスと一緒で多彩なところを走るので制御しきれないというのが1つ。
それから今のサスはバネと油圧ダンパーで、バネレートを変えるのは難しいので油圧を変えるのですが、油圧は応答速度に難があるのでやはり制御が難しいのではないかと思います。
さて、話題は変わりますがF1です。
F1では実際にアクティブサスペンションが投入され絶大な効果があったのですが、レギュレーションで禁止されて消えてしまいました。
なぜF1ではアクティブサスが有用だったのか?まずは誰でも浮かぶのは走るところがあらかじめわかっているからですね。
そりゃそうです。
もう一つ。こっちのほうが主な理由なのですが、それは空力です。
F1はとにかく空力がものをいいます。グランドエフェクトといってレーシングカーは床下の空気の流れを利用してダウンフォースを得ていますが、これは風洞実験で一定の車高でシミュレートして設計しているのでロールしたり車高が変わると設計どおりの性能を発揮しません。そのため今のF1ではサスペンションのメカニカルグリップを犠牲にしてサスを硬めてロールしないようにしています。
これをアクティブサスペンション(もしくはリアクティブサス)により常に路面と平行に一定の距離を保つことで設計どおりのダウンフォースを発揮させることができます。
さらにストレートでは車高を上げることで空気抵抗を減らすこともできます。
そんなわけで空力で走るレーシングカーには魔法のアイテムだったわけです。
話を戻します。
市販車ではなぜ採用されないか?まぁコストの問題はあると思います。耐久性?それはまったく問題ないでしょう。もっと過酷なABSが成功しているのですから。それと先に書いた応答性の問題といったところでしょうか。とにかく制御が難しいのはわかります。
ここからは事実ではなく私見なのですが、私は車の可動部分は今度全て電気式のモーターになると思います。
サスペンションもいつかはバネと油圧ではなく電磁石の筒で磁力の反発を利用したものになると考えています。
そうなった時にはその制御をソフトウェアで簡単に制御できるようになるのでリアクティブサスは一気に普及するでしょう。
エンジンのセッティングがキャブのニードルを交換していたのからECUのマップをノートパソコンで書き換えるようになったように、サスペンションチューニングもノートパソコンでデータを変更するようになるのではないでしょうか。
フライバイワイヤーはスポーツカーをいじったり、サーキットで走ったりするのが趣味な私達の視点からみれば「やめてくれ」なのですが、技術的視点からは色んな制御ができて面白そうです。カーエレクトロニクスのエンジニアって面白そうですね。