むかし、むかし美術予備校に黒瀬さんという頭のいい批評家さんがいました。
彼のうわさを聞いて、村上さまは試してやろうとGEISAIに呼び寄せました。
「一つ相談があるんじゃ。」と村上様は言うと、黒瀬さんを高橋コレクション日比谷に連れて行きました。
「実は、毎晩ネットをすると、この大きな神秘性が悪い場所から出てくるのじゃ。黒瀬さんよ、コンセプトを捕まえてもらいたいのじゃ。」
黒瀬さんはちょっと考えてから、頭に手ぬぐいを巻いて言いました。
「村上様、私にコンセプトを捕まえる縄を下さい。」
そして、黒瀬さんは縄を持って、会場の入口で待ち構えました。
「村上様、そこにいては危険です。会場の外に出てコンセプトを追い出してください。」
「何! 何と申す。アートスペースからコンセプトを追い出せと。」
「そのとおりです。是非お願いいたします。追い出してもらわなくては、コンセプトを捕まえられません。」
「ウーむ。参った。」