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書記長「話が抽象論になっているが、再度聞きたい。巻き返しのための方策はあるのか」
常務「それは、とにかくドンドンやればいい」
書記長「? 何をやるのか」
書記長「?? 具体的にどうやるのかという話だが」
書記長「それがどのようなものであるのかを聞いている。営業部長に聞くが、ガンガンやるとは具体的にどういう方策なのか」
委員長「埒が明かない。全力で仕事をするにしても、どこに向かって力を出せばいいのか」
書記長「??? そことは、どこ?」
一同「は?」
社長「前の会社のときにね、従業員が亡くなったんだよね。キャンペーンの後だったからね、過労だって話も出てさ」
社長「労基署は入らなかったんだけど、自宅で突然死だったから労災にもしてなくてね。お葬式行ったんだけど、小さな子がいてさ。奥さんは泣きっぱなしで、ご両親も逆にご迷惑かけてって頭を下げるくらいだったんだけどねえ」
社長「ところが直属の上司が焼香に上がったら、奥さんがものすごい剣幕で『出ぇてけえぇ!』ってねえ…」
社長「それがさ。すごい声でねえ。美しい奥さんだったんだけど、そりゃあすごい声だったよ」
社長「それからしばらくしてさ。その上司の人が辞表を出してね。あのとき、受け取っとけばよかったんだけどね。受け取らなかった。お前のせいじゃないんだからって。そしたら、死んじゃったんだよ。これが、自殺でねえ」
社長「うわあまた葬式だ、と思ったら、今度はご家族が来てくれるなと言うんだね。そういうわけにもいかないから、大げさにならないように個人でっていうことで伺ったんだ」
社長「いざ、会場になってる自宅に行ったら、うちの花輪が放り出されててねえ。参列の人も、気にせずにそれを踏みつけてて、ああ、これは本当に来ちゃいけなかったんだって、門前で手を合わせて帰ったよ」
社長「そんとき思ったね。従業員が死ぬようじゃだめだよーって。死ぬような働かせ方は、その時の関係者に一生祟るんだ。僕はあれ以来、会社関係の葬式に出るのが怖いもん」