東京新聞:米兵の子4人逮捕 バイク転倒事件 「ロープ張った」殺人未遂の疑い:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009120502000220.html
asahi.com(朝日新聞社):米兵の子4人を殺人未遂容疑で逮捕 バイク女性転倒事件 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/1205/TKY200912050197.html
痛ましいニュースである。バイクの女性が重傷という結果を引き起こしたにもかかわらず、容疑者4人の身元引き渡しがスムーズに行われなかった点も納得がいかない。このニュースを見て、15年前にアメリカで数日だけホームステイしたときのことを思い出した。
その時僕は中3で、お世話になった家には高校生と中学生の兄弟がいた。ある晩、僕はその兄弟のお兄さんのほうに「おもしろいものを見せてやる」とさそわれた。家から10分ほどはなれた住宅地の雑木林を抜ける細い道にピアノ線のような細いワイヤーを張って、走っている車を止めるのだという。僕とその家の弟は林の中に身を隠し、お兄さんが細いワイヤを道の両側の木に巻き付けてピンと張る。それはとても細いワイヤで、僕にはそんなもので車が止まるのか半信半疑であった。
罠を仕掛けた後、3人でなんの明かりもない林で息を殺して10分ほどまっていると、車が走ってきた。大きい4WDだったと思う。
ワイヤーがあまりに細いので僕らの場所からはワイヤーの位置がわからない。時速30kmくらいで滑るように走っていた車は、次の瞬間に「ブン」という地味な音とともに、軽く上下に振動して、止まった。ワイヤーが見えないのであたかも車が空気の壁にぶつかったようだった。
僕らは車がとまった瞬間に、「よっしゃ!」とかいいながら、林の反対方向に走って逃げた。ドライバーは車から降りて、初めてワイヤーのいたずらに気づくのだろう。家に走ってもどると、その家の両親は苦い顔をしたはものの、特に咎めることもなかった。彼らもこれは子供のいたずらとして考えていたのだと思う。
15年前のアメリカのコネチカットにある田舎の町でのことである。
この経験をもって、ロープを張ることがアメリカではよく行われる悪戯と言うつもりはない。ただ仮にロープを張ってもアメリカのようなバイクの少ない場所では、人の命を左右するような結果は想像できないと思う。
今後、容疑者達が日本の法律で裁かれるとして、彼らの弁護士は「これは米国ではよくある、たわいもない悪戯で、容疑者達に殺意はなかった。」と言い出すのではないだろうか?もちろん彼らは厳しく罰せられるべきではあるが、殺人未遂つまり殺害の意図があったという説明は難しいと思う。
そして15年前に自分がいたその場所で、今回のような悲劇が起こらなくて本当によかったと思う。