次はオサマ・ビン・ラディンが受賞しても不思議でなくなった
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テロリストにノーベル平和賞が与えられたことがある。故アラファトPLO議長だ。
イスラエルとの和平交渉にのってオスロ合意に至ったのは、弱体化したPLOの最後の選択だった。それ以外、選択の余地はなかった。ラビン、ペレス両イスラエル指導者と三人同時受賞だった。
それ以前まで米国はしばしばアラファトを「テロリスト」呼ばわりしていた。
オサマ・ビン・ラディンはCIAの手先だった。
アフガニスタンからロシア侵略軍を撃退し、米国はパキスタン経由の武器援助をやめ、反ソ活動家への援助も打ち切った。
政治環境が変わると、かれはテロリストと認定され、世界に指名手配された。
ならばもう一回転向し、和平交渉に乗ってきたら、オサマだって受賞資格がある。
理想を述べたにすぎず、ロシアは同意するそぶり、手をたたいて喜んだのは北京だった。バラク・フセイン・オバマ路線によって、もし米ロが戦略的核兵器を削減すればバランス上、中国の核戦力が突出することになるからだ。
オバマは受賞を聞いて「これは『行動を起こせ』という呼びかけだ」と受け取った。
ノーベル平和賞が、つぎの国際政治のパラダイムをオバマに強制することになる。露骨な政治的思惑だが、ノルウェー政府の考えそうなことである。もっともキッシンジャーやカーター、スーチー、金大中と、へんな受賞がつづき、もはや「権威」は雲散霧消しているのだが。。
ロシアが核兵器削減に前向きなのは、じつは「過剰」な在庫の中に旧世代の核兵器(事実上、もっていても仕方がない)からプルトニウムを取り出して、原発原料に回したいからである。
米国も「過剰」なICBM在庫を削減し、管理コストを下げたい。そうした経済コスト意識が裏面に潜んでいる。
手放しで喜んでいる人たちは偽善者の本質を、その打算と汚らわしい打算とを軽視するか、無視する。
ちょうと筆者は福田恒存氏の「文学と戦争責任」を読んでいた(下欄、書評参照)。
偽の英雄を、現代世界はまたでっちあげた。その人の名はバラク・フセイン。
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通巻第2736号