2009-05-30

連続SS

 小気味良い銃声が響く。今日の5限目は体育だ。

 女子は2人1組で50m走のタイム測定、男子は――、

「で、だ。俺だったらー……そうだなぁ」

 いきなり教師が休んでしまったので、自習だ。

 そして谷口の女子評価トークが続く。暇なヤツだ。

「このクラスのイチ押しは――アイツだな」

 ん、と谷口が顎で示す先に目を向ける。





 地響きがする――と思って戴けたら、こちらとしても甚だ幸いである。

 ただし、ここでいう地響きとはやっぱり地殻変動の類のそれではない。  





 巨体だ。いや、あれを巨体と言うにはいささか難点が以下略



 涼宮山ほどではないが、明らかにそういう体型の女子が走っていた。

 見かけによらず――いやよらず云々の話じゃない、常人スピードだ。

 あとからゴールした子が悲愴な表情を浮かべていたのは、俺だけの胸にしまっておこう。合掌。

「――朝倉涼子一年の女の中でも、ベスト3には確実に入るね」

「……一年の女子全員をチェックでもしたのか?」

「おうよ! AからDまでランク付けして、そのうちAランクの女はフルネームで覚えたゼ!」

 ここに至ってようやく確信がいった。こいつはそうとうのアホだ。

朝倉川さんがそのAなわけ?」

「甘いな国木田! ……AAランク+(プラス)だな。あれはきっと性格も良いに違いない!」

 基準が分からん。

「見た目、涼宮山と変わらんようだが?」

「あーあー、わかっちゃいねえなあ、別モンだよアイツとは。もっとよく見ろ」

 仕方がないので見てみる。

 ……ははあ成程、つまるところあの朝倉川とやらも、涼宮山と同じ矛盾輪郭の持ち主だと言うわけだ。

違うところは、物腰の柔らかそうなところと、人当たりが良さそうなところ、だろうか。確かに、彼女涼宮山とは違い、

随分クラスメイトと打ち解けているようだ。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん