2009-02-15

 欧州ユーロ非加盟国にユーロ参加の動きがあるという話。

 弱小通貨問題点は、その取引を受けてくれる人を見つけにくいという点にある。昨今のような信用と貿易が急速に収縮する局面だと、投機ポジションをもってくれる投資家が減り、実需に基づくお金の動きだけになって、流動性が低くなる。輸出先が不景気になっても、燃料等の輸入は止められないとなると、輸出が減って輸入が増える事から、自国通貨安になる。

 グローバリゼーションによって米ドルを手に入れた中国産油国が、貿易摩擦を回避したり、宗教上の理由から、米ドル以外で資金を保持できる場所を必要としていて、ユーロは、その場所として適合しただけに過ぎない。

 ユーロが高騰して輸入品が安価に買えるようになり、また、貨幣供給量が増えた事から土地バブルが発生したりして景気が良くなり、そこに輸出する物資を生産したり、安価バカンスを過ごせるからという理由で、欧州ユーロ非加盟国もつられて景気が良くなっただけでしかない。自らの努力通貨が高くなったわけではないのだから、アメリカの景気が悪くなって、中国の輸出が止まり、原油価格暴落すれば、ユーロ買い支えお金が止まるどころか、ユーロを売って物資や自国通貨を買うという動きすら出てくる。ユーロの景気が悪くなれば、そこに輸出したりバカンス客を相手にしたりしていた欧州ユーロ非加盟国の景気も悪化するわけで、それらの動き自体は、当然の出来事でしかない。

 低金利国の通貨を借りる外貨建ての借金があったりすると、金利が安くても自国通貨がそれ以上に安くなる為に、返済元本も毎月の利息支払いも増えてしまい、結果的に、高金利借金になってしまうという事もある。

 ユーロ非加盟国の通貨が、ユーロ以上に暴落している事から、ユーロに加盟しておけば良かったというこぼれたミルクを嘆く声があがり、これからでもユーロに加盟しようという機運が出てきているのであるが、今更加盟しても、美味しい思いはできないであろう。

 ユーロ加盟国内においても、通貨安が外貨建ての借金の返済負担を大きくしているという経済事情は変わらないし、ユーロ紙幣には発行国が書き込まれており、特定の国家の発行したユーロ紙幣は受け取らなかったり、即座に銀行に入れて、自国や自国よりも財政状況の良い国家が発行したユーロ紙幣に交換するという動きが出てきている。

 建前としては、どの加盟国家が発行したユーロ紙幣でも通用する筈なのだが、財政状況の危険な国が発行したユーロ紙幣は、いつユーロから追放されて紙切れになるかわからないという危機感がある。ユーロの信任を維持する一番手っ取り早い方法は、基準を満たせなくなった国家を追放してみせる事だからである。

 自国の通貨を高くするには、輸出超過という状況を作り出さなければならない。相手国内の需要をダンピングで奪い取るようなやり方では、保護主義を発動させてしまうだけである。そこから手に入れる以外に方法がないという商品を作りだすだけではダメで、それを、相手国通貨を買ってでも買いたいと思わせるほどの欲求を作り出さなければならない。高品質低価格というのは、競合相手との競争においては有利であるが、それだけでは、運賃や距離がもたらす在庫負担や関税保護主義規制といった障壁を乗り越える事はできない。娯楽情報に混ぜて価値観を広め、ライフスタイルとして受け入れさせるというところまでやらないと、自国通貨を高くする事はできないのである。

 外貨建て借金の元利払いがきついので自国通貨を高くしてくれという要望だけでは、何も変わらないし、ユーロに加盟すればそれが適うという事も、ありえない。

  •  自国の通貨を高くするには、輸出超過という状況を作り出さなければならない。 これは違うのでは?金利による要因のほうが大きいはず。 実際最近の日本は輸出へって貿易赤字に...

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