昼ちょっと前に起床。テレビをつけたら、『笑っていいとも!』がはじまるところ。最初のコーナーが長引いている。「テレフォンショッキング」の時間が短くなるんじゃないかと、毎回勝手にいらない心配をする。
「テレフォンショッキング」が終わるころ、やっと布団を出る。トイレに行く。茶の間で親と適当にしゃべる。部屋に戻って、布団をたたんで、座布団に座ってテレビ。タモリはいつも早起きで大変だなあ、でも、それだけの金はもらってるんだろうなあ、案外割のいい仕事かもしれないなあ、とか考える。
読みかけの本を読みはじめる。10分くらいで飽きてきて、中断。テレビの上に、せっかく買ってきたのにまだ読んでいない本が、7,8冊ある。どんどん増えていく。
アコギを弾こう、と手にとってみると、弦がゆるゆる。「弦を毎日ゆるめておかないと、ネックが曲がる」と誰かから聞いて、昨日の夜、さっそくゆるめて寝たんだった。面倒臭えなあとかなんとかブツブツ文句を言いながらチューニングする。チューニングし終わってジャカジャカ弾いてたら、3弦が切れた。アコギの3弦は、もうストックが無いんだった。あーあ。仕方がないから、エレキギター用の4弦を張ってみる。鳴らない。ビャンッ、ビャンッと頼りない。タモリのせいだ。
ギターにも飽きてきて、腹も減ったし、そろそろ朝飯でも食うか、と台所へ。冷蔵庫を開けたところで、今ごろやっと目覚まし時計が鳴る。…目覚まし時計のくせに、オレより遅く起きるな!心構えが成ってない。5分前行動するくらいの気持ちでやってほしいもんだ。タモリを見ろ、タモリを!
納豆ご飯、みそ汁、お茶を、なんとか無理していっぺんに持って部屋に戻ったら、扇風機につまずいて、あやうく全部こぼすところだった。タモリのやつにスキを見せると、こういうことになる。油断禁物だ。
古い扇風機だから、倒れた拍子に金網がとれて、それでもしぶとく回っている。そんな扇風機を見てたら悲しくなってきて、テレビのタモリに向かってリモコンを投げつけてやろうかと思ったけど、リモコンが壊れたら嫌だからやめた。
『笑っていいとも!』が終わって、チャンネルをそのままにしておくと、『ごきげんよう』がはじまってしまう。あれを見てると、なぜだかものすごく恥ずかしくて、背筋に寒気が走って、外へ飛び出して走り回りたくなる。どうにも耐えられなくて、「あっ!」と声を出してしまうときもある。
テレビは面白くないから消して、音楽を聴くことにした。昨日買ったばかりの、ホフディランのアルバムを聴こう。うん、かっこいい。1曲目は、そのまんまどこかで聴いたことがある気がしないでもないけれど、かっこよければすべてOKだ。タモリにも聴かせてあげたい。
遅めの朝食を終えて、横になる。動くのが面倒臭い。1時間くらい自分と戦って、やっと立ち上がって歯を磨き、顔を洗う。また横になる。テレビをつけたら昼のドラマをやっていて、ついつい最後まで見てしまう。そのままの勢いで、ワイドショーも最後まで見る。ワイドショーを見ながらまた自分と戦って、番組の終盤になって、やっとヒゲを剃る決心がついて、ダラ、ダラと剃る。本を読んだり、アコギを弾いたり、レコードかけたりしながら、またまた自分と戦って、夕方になってようやく立ち上がって、寝癖を直しに洗面所へ。ここまでで、起きてから4時間もかかっている。いつものことながら、自分が情けなくなる。あぁ、タモリ!
PM5:45からバイトだから、いつもPM5:00には夕飯を食べる。PM5:00という約束になっているのに、うちの親はいつも、「片づかないから、早く食べちゃいなさい」とかなんとか言って、PM4:30にはもうばっちり夕飯を準備してしまう。
「早く食べな」
「食べな食べなって言うのは年をとった証拠だ」
「ゴチャゴチャして片付かないから、いいから早く食べな」
「さっき朝飯食ったばっかりだから食えねえよ」
「じゃあ食べるな」
「急いで食うとウンコが硬くなるんだよ」
バイトまでまだちょっと時間があるから、アコギを弾く。新しいことを覚えようとしないから、弾く曲はきまってオアシスか奥田民生だ。そろそろ飽きてきたな。
「だれかギター弾いてるんですか?外まで聞こえてますよ。息子さんですか?なかなか上手いじゃないですか」
玄関先で声がする。新聞の勧誘だ。親のご機嫌をとっている。でも、残念でした。ご機嫌取りも、無駄な努力ですよ。うちの親は巨人ファンだから、あの新聞しか読みません。タモリになんとかしてもらえよ。
ちょっとのつもりで横になったらそのまま寝込んでしまって、起きたのがPM7:30。バイトは完全に遅刻だ。仕方がない。電話して休むことにした。読書、テレビ、ギター、レコード、読書、テレビ、ギター、レコードで一日が終わる。気がつけばもう、日付も変わって朝方だ。タモリはもう、とっくに寝てるんだろう。もうすぐ起きる時間かもしれない。
週に5日間、文句を言わずにクルクル働いて、休日はささやかに遊ぶ。すばらしい!僕もタモリさんのような、立派な勤め人になりたいです。どうすれば、なれるんだ。