2008-07-07

anond:20080707133600

「走れグロメン」

「フヒィ…フヒィ…!」

グロメンは走っていた

普段運動といったら自慰ぐらいの彼にとって、こんな必死で走るのは久しぶりだった

全身からあふれ出る汗、呼吸も荒い。時折何か高い声を出しながらもグロメンは必死に走っていた。

この一人のグロメンを何がそこまで突き動かすのだろうか?

それを語るには少し時間をさかのぼる必要がある。

前日、講義を終え帰ろうとするグロメンは同じ研究室の知り合いに呼び止められた。

「な、何?」

「あのさ、お前明日の1眼とってる?ほんっと悪いんだけど代返頼んでいいかな?

な!お願い!どうしても明日いけないんだけど、俺出席やばくて…」

「いいよ。」

「マジかよ!サンキュ!ありがとな!えっと俺の番号は??」

この男は研究室でもちょくちょくグロメンに話しかけてくれることもあり、

グロメンは彼のことを嫌いではなかった。

というよりこの男の人当たりの良さそうな笑顔、そして活発な話し方…断れるはずがなかった

また、この講義…実はグロメンも度々休んでいたのであった

朝が弱いグロメンはついつい寝坊してしまうことが多々あった。

そのおかげで明日寝坊するわけにはいかない責任がいっそう強く沸いた。

そういうわけだが…なんとこのグロメン、そんな日にかぎって寝坊してしまったのだ

まったくしょうがないグロメンである。

「フヒィ!フヒィ!」

やっとグロメンは大学に着き、時計を見るともう1限は始まっている時間であった。

教室まで走った。階段を上がった。軽蔑眼差しで見られた。指を指されて笑われた。

しかしグロメンは走り続けた。ゼミ仲間の信用のため、自分の単位のため…!!

教室についた…!

扉を開けると、まだ出席カードは配っていないようだった。

安心するグロメン。安心して気が抜けるとまわりの学生からの好奇の視線を感じた

「きもっw」

「何あれw」

「必死すぎw」

「くさそうw」

グロメンはそんな声が聞こえた気がした。

自分のことではないと言い聞かせた。

そそくさと席に着くと、教授が出席カードを持ち驚くべきことを口にした

代返している学生がいるときいたから、今日から一人づつカードを配ることにした」

そう言うと教授は一人づつカードを配った。配られたカードには印がついているという二段構えだった。

今までははただ出席カードを前から回していくだけだったのに…

グロメンの表情が硬くなった。

どうする?

グロメンは思った。今日出席をとらなければ自分は単位を落としてしまうかもしれない

これは必修、そうなると再履修となる…

彼の出席はやらなくても自分とばれることはきっとない…

グロメンは自分の名前を書こうと思った。

「ごめん昨日から出席のとりかた変わってさ…やろうと思ったけどできなかったよ」

こう言えばいいだけである。

しょうがないことだ。

しかし、このグロメン、何を思ったのか彼の名前を書いたのだった。

頼まれたことはやらなければいけないという、何か特別な使命感が働いたのだった…

グロメンは不思議と満足していた。

自分は身を削ってまで、人のためにいいことをした。そんな気分を味わっていた。

次の日、あの活発なゼミの男が声をかけてきた。

「おう、昨日の出席だけど…なんか一人づつだったんだって?」

まってましたとばかりにグロメンは言った。

「ああ、そうだけど…キミの名前書いといたから大丈夫だよ」

「え…?マジかよ!うわー本当ありがとう!!」

「そんな、いいよ、俺あの授業まだ休んだことないし」

照れくさくなりグロメンはうそをついた。

「あ、そうなの!いやーでもありがとうね」

グロメンは人にこんな感謝されたのは久しぶりであった。

いい気分であった。

「でさ、昨日の今日で悪いんだけど、今日の4限もお願いしてもいいかな?」

グロメンは耳を疑った。

「あ、ああ…いいけど…」

そして断れずまた頼みをきいた。

代返を終え、家に帰るとグロメンは思った。

昨日の自分の努力や、自分の出席を削ってでも出した代返

そして周りからどう思われたか。

そんな気持ちや出来事は彼にとっては取るに足らないことだったのだろうか?

彼にとって自分は代返してくれる便利な人間でしかないのではないか?

グロメンは激怒した。

マクラを思い切り殴った。

なんだかグロメンはむなしくなった。

その次の日、また彼から代返を頼まれるグロメンの姿がそこにあった。

そんな日々が続いた…

翌年、あの一限を再履修をするグロメンの姿があった。

グロメンは今日寝坊して走っていた。

もう休めない。次休んだら終わりだ。

「フヒィ!フヒィ!」

走れグロメン

走れグロメン

記事への反応 -
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