さっき金曜ロードショーでマトリックス2作目を見たんだが、「これってスピリチュアルな世界じゃないか」って思った。
劇中ではやたらと運命が強調され、登場人物は運命と自分の選択との葛藤に翻弄される。これ、西洋的、アラン・コーエン的スピリチュアルそのもの。[isbn:978-4478910146]を斜め読みしたところによると、彼は、自分の正直な選択は必ず意味深い結果に繋がるという運命思想を持っている。ただし、同時に「前世など、あなたを規制するものは何もない」とも断言してる点には注意ね。神秘主義というより、自己啓発に近い雰囲気がある。
また、マトリックスの中では物を浮かせることが出来る人間がいたり、抽象的な言葉ばっかり使ってつかみ所のない言葉を乱発する預言者がいる。青白いヒーローにはソウルメイトもいる。スピリチュアルな夢世界そのもの。そして何より、マトリックスという「この世界を超越した存在」を肯定し、かつ旧来の宗教によるような「超越した存在」への絶対的な善という扱いをしない。
つまりマトリックスは、「スピリチュアル的世界観を、仮想現実とコンピュータネットワークというサイバーパンクで解釈いたしました」というご提案だったわけね。
一方、日本でのスピリチュアリズムは、三輪・江原に代表される「先祖」「前世」「守護霊」とのつながりを基調とした封建社会的なものが主流で、運命と個人を直接つなげるような個人主義的な西洋スピリチュアリズムはあまり受け入れられていない。マトリックス的なスピリチュアリズムは、日本的スピリチュアリズムとは明確に相反していると言っても過言じゃない。
幸い、1作目の時点では、サイバーパンク物としてのマトリックスは攻殻機動隊と特に比較され、その手のファンには受け入れられた。だが、2作目ではやたら運命と選択が強調され、新たなサイバーパンクのご提案や世界観の拡張もなく、抽象的な長台詞とCGで埋められた時間には我慢の限界があった。
こうしてマトリックスは、1作目の大ヒットとは縁遠く、単なるシリーズ物の定番の一つに成り下がったわけだ。
と、映画を見ながら思って、若干スピリチュアルにかぶれたうちのかみさんに、「これってスピリチュアルだよね。運命とかwww」などと話し掛けていたら、少し不機嫌そうな顔で「なに?この映画嫌いなの?」と言われたので、「いや、そんなことはないんだけど…」とだけ答え、それ以降黙ってしまうしかなかった。
お陰で、今夜は増田日和だ。
いや、サイバーパンクってのはもともとスピリチュアルなもんだろ。 攻殻の原作読んでみろ。特に2とか。
言われてみればそんな気もする。 もう一回読み返してみよう。