幼稚園の通園に使っていた籐のバスケットの中には、きれいな水色の小箱と、白いリボンが丁寧にたたまれてしまってある。
私が小学生から中学生くらいだった頃に、クリスマスが近くなると毎年ティファニーのアクセサリーと、ゴディバのチョコレートをくれるおじさんがいた。おじさんは父の友人で、ニューヨークに住んでいる。子供は欲しかったけどいなかったらしい。多分お金持ちだったんだろう。普通は小学生にティファニーでアクセサリーやチャームを買って贈ったりはしないと思う。しかも私と妹の両方にだ。
当時の私はゴディバがそれなりに値の張るチョコレートだということは知らなかったけど、ティファニーが素敵なものだということはなんとなくわかっていた。きれいな水色の、ロゴの入った紙袋には小さな箱が白いリボンにくるまれて入っている。大人の女性の仲間入りをしたようで、とてもとても嬉しかった。中身はアクセサリーではなく、子供向けのブックマークだったりチャームだったりしたけれど、きらきらしてとてもキレイだった。大人になった今でもその頃に貰ったボールペンは使っている。
おじさんと父が疎遠になったのか、中学以降はそのおじさんとのつながりがなくなってしまったけど、あの頃の素敵なプレゼントに心を躍らせるキラキラした気持ちはずっと忘れていない。ああ、大人になったら今度は素敵な恋人に、この水色の小箱をプレゼントしてもらえるんだ…とか夢みていたけど、まさか自分が30近くになっても誰とも付き合えず、これからも付き合う気配が微塵もないとは思わなかったなあ。多分おじさんに一生分のティファニーをもらい尽くしてしまったんだ。そういうことにしておこう。そうしようそうしよう。
ティファニーか、さもなくば朝食を (2008, A. Masuda) こうですか!? わかりません><