まず初めに言っておきたいのは、ニコニコ動画のサービスそのものがつまらなくなった、ということではありません。
あくまで利用する側、つまり私が「つまらなく感じるようになった」ということです。
詳しくは覚えてはないものの、私はニコニコ動画が会員制になる前から利用していました。
それが最近、ニコニコ動画の利用時間が著しく減少してしまっているのです。
何故か。
ニコニコ動画黎明期は、一次創作物が中心だったように思います。
「陰陽師」「テニプリミュージカル」「きしめん」「ふぃぎゅ@」などがその代表です。
つまり、誰かがどこかから「こんな動画があったよ」と紹介し、皆でそれを見て楽しむ、といった具合です。
テレビ番組やアニメ番組の違法アップロードもこのクチでしょう。
確かに、初期の頃でも二次創作物はありました。
しかし、現在に比して、その割合はずっと少なかったと思います。
現在のニコニコ動画を見てみると、ランキングに入っているのはMAD動画などの二次創作物ばかりです。
何故こうなってしまったのかは分かりません。
ニコニコ動画の拡大に伴って著作権問題が指摘され、民放番組の違法アップロードが生き残れなくなったことが原因かもしれません。
いずれにしろ、ニコニコ動画は、以前のような「こんな動画があったよ」という場から、「こんな動画作ったよ」という場に変わってしまいました。
私が言いたいのは「何故こうなってしまったか」ではなく、「こうなってしまったニコニコ動画が何故つまらなく感じられるか」です。
MADなどの二次創作物には、当然のことながら、その元となる一次創作物が存在します。
例えば「みさおにロイツマを歌わせてみた」であれば、「らき☆すた」と「ロイツマ」がそもそもの元ネタになっています。
(小ネタとしてスパイダーマやフタエノキワミも含まれていますが)
ここで重要なのが、「みさおにロイツマを歌わせてみた」という動画を楽しむには、あらかじめ「らき☆すた」を見ていなければならないし、「ロイツマ」を知っておかなければならない、ということです。
そうでなければ、この動画はただの「知らないアニメキャラの声を切り貼りして音楽にのせている動画」でしかありません。
一次創作物は誰が見ても楽しめますが、二次創作物はそれに含まれる一次創作物を理解出来る人間が見なければ楽しめません。
もちろん、全ての動画がそうというわけではなく、中には元ネタを知らなくても面白いと思える動画はあるでしょう。
しかし、二次創作物とは、ある限定された範囲の人間に対して発信されたという性質を持つ動画なのです。
「東方は分からないから」「アイマスは興味ないから」、それらの関連動画は初めから見る気もなく、実際見ていない、という人は多いのではないでしょうか。
MAD動画の氾濫するニコニコ動画を楽しむには、そのための前提条件が多くなりすぎました。
らき☆すた、ウマウマ、エアーマン、スパイダーマ、ガチムチ、グルメレース、アイマス、全自動マリオ、初音ミク、東方、ドナルド・・・。
これらを前提知識として持っていなければ、ランキング入りしている動画などどれもこれも意味不明のものでしかありません。
ここに来て更にタチが悪いのは、二次創作物をネタにした三次創作物、また四次創作物が次々に生まれていっている現状です。
そうなると、人気の盛衰が激しいニコニコ動画のこと、常にリアルタイムで流行り廃りを追いかけなければ、動画一つまともに楽しめなくなってしまいます。
私の中で、本来動画を見て楽しむべきものだったニコニコ動画が、いつしか楽しむために動画を見させられているものになっていました。
そんな状況に嫌気が差し、ランキングを漁るのをやめ、自分が見たいと思ったものだけを検索なりして見る、というスタイルに変えました。
今では、ランキングを1位から100位までざっと見ても、自分が楽しめると思える動画は数える程しかありません。
しかし、自分はこれで良かったのだと思っています。
冒頭にも書きましたが、これはニコニコ動画の問題ではなく、自分の問題なのですから。
自分が楽しめるように利用すれば良いのですよね。
なにやら変なまとめになってしまいましたが、これにて終わり。