マクロ、ミクロを持ち出すような経済学的な観点に立つと雇用者(経営者)の論理が先に立ちがちですが、労働者の論理も無視できません。
現在単純労働に分類されている派遣労働者の生活を守るために最低賃金の増加を言うのに論理的な破綻はないと思います。
【派遣・日雇い】共産党志位委員長の国会質問が話題になっていますが、これらも含めた最近の「派遣は悪」という論調の議論がイマイチ理解できません。 論点を明確にするた.. - 人力検索はてな
これね勘違いというわけではないのですが、根本的に立ち位置が違うんですよ。経済学的な視点ってのはあくまでも経済「学」なんですよ。さらにいうとid:tableさんが経済学だと思っているのは、あくまで新自由主義的((新古典主義的でもいいのかな?))な視点から解釈する経済学なんですよ((現在の主流は自由主義に沿った考え方なのでほぼ正しいのですが、それでも新自由主義を推奨しているわけではなくて、経済を基本として社会をとらえた時に、よりシンプルな解釈ができる方法・思想・考え方ってだけのことなのです。))。そうだとしても、経済学が経営者の論理に立っているかというとそれはウソです。経営者も労働者も市場原理にしたがって駆動するプレーヤーとして扱われています。経営者が自己利益の最大化を図ろうするときに、同時に労働者も自己利益の最大化を画策します。ゆえに両者は対立する関係ではなく、同じフィールドで協調しながら個々の利益の最大化を図るプレーヤー同士なのです((残念ながら抜け駆けや騙し討ちなども平気で発生するし、条件がアンバランスだったりするドイヒーなフィールドなんですけどね。))。
なのでねid:tableさんが言っていることと、id:curry21が質問していることとは、見ているものが違うんですよ。
id:curry21さんの考え方((回答への返信から勝手に推測))だと、単純に外部化できる労働はどんどん労働単価の安い所にまわしてしまいましょうって感じなんですよ。それに対して誰かが「国力が...」とか言っても、国家ってなに?経済の地理的循環を停めようとする邪魔な存在のことですか?そんなもんは無くしちまえよ。というような考え方なんですよ((こうした国家をシカトするような考え方自体は悪ではない。実際、歴史を振り返ると第二次大戦のきっかけとなった世界恐慌は国家の保護政策的なブロック経済がそもそもの原因だったりします。))。別に日本人ばかりが裕福な暮らしができても仕方がないでしょ?中国人だってインド人だってアフリカ人だって裕福な暮らしをしたいし、それを実現する権利があるんだから、日本人が自分達の生活を守るために第三国を排他的に扱う正当な理由はないでしょ?って考えているわけですよ。そんな風に考えないないで一部の日本人の都合だけを考えて「派遣は悪だぜ」なんて言ったら、一方が圧倒的に有利な条件でゲームをしているようなもんなんです。
そういう観点からid:curry21さんは質問をしているわけだと思います。こうした一見すると無茶苦茶に見えるようなことでも、じっくり考え((自分自身の感情や立場を脇においておいて、合理にのみ徹して考え))てみると、芯が通っていて先まで見通せるような気になってきます。まぁ、もちろん実証出来ないよとか、現実にはあてはめられないよとかの反論は多々あると思います。でも「学」なんてそんなもんです。でも、そんなもんなんですが、それでも現実においては思想にもとづいた一貫した主張・行動は必要だと思います。その時々によって自分に都合のいいことばっかりだと愚衆とかイナゴとかになってしまって、メディアや声の大きい人達にいいようにアジられてしまいます。
なんでもかんでも何かの主義にあてはめろというわけではありませんが、せめて自分自身がどんな立場で、どんな思想を持って物事を判断したり、ケチをつけたりしているのかを振り返ってみる必要はあると思います。そうでないと単にムカついたとか感情だけで反応してしまってどうやってサヤに戻すか困惑してしまうことになるかもしれません。