2007-06-17

http://anond.hatelabo.jp/20070617002045

まず、元増田が言及している元々(?)増田は一般的な主張であって、web2.0なるものを念頭に置いて書かれたものではありません。そもそもよく知らないですし。しかし、それは本論とは無関係なのでどうでもいいです。

さて、ご指摘の通り、ぼくが「多数の読みがそこに収束する解釈」と「誰がどう読んでもそうなる解釈」を置き換え可能な表現として使っているのは非常にまずいです。ぼくは後者をある種のレトリックとして使用し、たいがい前者として受け取ってくれるだろうと想定していいたわけですが、それこそが一番初めの増田とのそもそものすれ違いだったわけで、その旨のご指摘はごもっともであります。

しかし、話の要は別のところへ行ってしまっているようです。まず、元増田を整理すると、だいたい次のようになるようです。

  1. テクストには筆者が意図した本来的価値がある。
  2. 増田(ぼく)は「「多数の読みが収束する解釈(A)」は「誰がどう読んでもそうなる解釈」なんだからそれが「テクストの本来的価値(B)」である」と言っているようだ。
  3. しかし、(A)=(B)とは限らない。

以下はこれに対する反論です。

ぼくは、元増田の元増田で「文章というのは結局のところ読者がどう理解するかであり、筆者の「つもり」など(つまり筆者にとって読者の理解が勘違いかどうかは)原則的にどうでもいい」と書きました。

これを(うまくいえなくて比喩的で申し訳ないですが)説明するとこうなります。

  1. テクストとは、筆者が読者を連れて行きたいところへ連れて行くための道具である。
  2. したがって、「筆者の書きたいことが書けている状態」は「筆者が対象とする読者がそこに行けている状態」に対応する。
  3. そうである以上、テクストの価値は最終的には筆者の意図ではなく読者の解釈が決める。

だから、(A)=(B)なんです。

ご指摘のように、読者に暗号のように高度な比喩の理解を要求するテクストもありましょう(ちなみにそれが「暗号」そのものであるケースに関しては初めから議論から除外されています。ここでは文⇔文の(一義的・客観的に共有可能な)変換アルゴリズムではなく、文⇔脳内主観アルゴリズムの話をしています。)。

しかし、それが筆者の狙い通りの読者層から狙い通りの理解を得られたとしても、誰ひとり理解できない代物であったとしても、どちらの場合もそのテクストの価値を決めているのは「読者」です。もっと言うと、読者の解釈の総和がそのテクストの価値です。もし「誰がどう読んでも」筆者の意図に反した解釈になったとしても、そのテクストは「誰がどう読んでも訳の分からないテクスト」であり、それがそのテクストの価値です。(ちなみに、読者の読解能力の低さに由来する誤読は問題外です。そういう話ではありません。)

筆者の意図=テクストの本来的価値ではありません。そもそもテクストに固有の価値などありません。あるのは読者の解釈だけであり、それに応じた筆者の成功/失敗があるだけです。

記事への反応 -
  • 「誰がどう読んでもそうなのに」じゃなく 「俺はそうとしか読めないのに」だろ

    • いやいや、「誰が読んでも○○なのに」って書いてるじゃないですか 一定の読みに関する共通了解ができているという設定ですよ

      • 「当該文章を誰がどう読んでも○○なのに」 ↑こんな事は実際問題確かめようがない(多数決でもして決めるとでもいうのか?その場で?匿名のここで?)のにそんな事を言ってるから...

        • 「当該文章を誰がどう読んでも○○なのに」 これはある程度確かめることは可能です。 「多数決でもして決めるとでもいうのか?その場で?匿名のここで?」 と言いますが、別に「読み...

          • もちろん筆者が意図「しない」ことを書いてしまっていて筆者一人がそれに気付いていないというケースも無いではない。昨今の炎上のいくつかでは、そういうケースが散見されるのも事...

            • まず、元増田が言及している元々(?)増田は一般的な主張であって、web2.0なるものを念頭に置いて書かれたものではありません。そもそもよく知らないですし。しかし、それは本論とは...

              • 20070617064124の言ってること、おおむね了解。で、こちらも同じように、言い方がマズくて誤解させちゃったなあ(それは全くこちらの責任で)と感じたので付記。 増田は先の書き込みで...

                • なるほど……やっと自分が誤解していたことに気がつきました。 「文章力のない電波が多数に諭されている状態」と「少数の為のテクストがネットイナゴに食いつかれて炎上している状...

                  • 横からなんだけど、どうにもわからないので聞いてみたい。 「文章力のない電波が多数に諭されている状態」と「少数の為のテクストがネットイナゴに食いつかれて炎上している状態」...

                    • 「少数の為のテクスト」って多数にとっては電波でしかないんじゃないの? ある文章がどちらに入るかは、自分が小数派・多数派どちらに入るかでしかないんじゃないの? ネット上が...

                      • この話題が出るなんて。なんだか自己言及的で面白い。 お聞きしたいのですが、 「文章力のない電波が多数に諭されている状態」 「少数の為のテクストがネットイナゴに食いつかれ...

                        • 「文章力のない電波が多数に諭されている状態」 「少数の為のテクストがネットイナゴに食いつかれて炎上している状態」 電波が多数に発信されている状態 少数の為のテクスト...

                          • 「文章力のない電波が多数に諭されている状態」 「少数の為のテクストがネットイナゴに食いつかれて炎上している状態」 電波が多数に発信されている状態 少数の為のテクスト...

                            • 多数派は多数派で数的優位と既成概念という電波に操られていると思うよ。 寄らば大樹の影、長い物には巻かれろ、赤信号みんなで渡れば怖くない。 島国根性自己保身丸出し。

                            • あなたは http://anond.hatelabo.jp/20070617151042の質問【1】 http://anond.hatelabo.jp/20070617200219の質問【2】 のどちらの質問者ですか?文体が違いますがどちらもあなたの質問ですか? 「「少数の為...

                              • http://anond.hatelabo.jp/20070619213623、http://anond.hatelabo.jp/20070617200219、そしてhttp://anond.hatelabo.jp/20070617200219のいずれも私が書きました。 「区別することは大事ですよ」というメインの主張 こ...

                                • 判断が難しければ少数派に与すれば良いのではないですか?また、「文章力のない電波が多数に諭されている状態」であっても、少数派に与すれば、たとえ判断を誤っていてもネットイ...

                        • こんな話出てきたか? >罵倒は本来、公共の場、多くの人の前で使用すべき言葉ではありません。ただ、多少の事はコミュニケーション手段の一つとして認められています。しかし、Mar...

                      • なのでしょう?   路上でチンコを出して暴力的に相手に抜き差ししながらケツをひっぱたいている人がいたら 「おいあんたちょっといいかげんにしろよ」 と止めに入るでしょう?そし...

          • そんな大袈裟な展開は頭に無かったな……の一言。

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