2007-01-23

きらいきらい。みんなきらい

本当は頭がいいのに馬鹿のような振る舞いをするやつがきらいだ。

行間から垣間見せる微かな知性のきらめきに嫉妬するとともに憧れてしまう。すべてを転倒させるその言動に、ふと馬鹿にされているような錯覚に陥るが、彼らは決してひとを見下すことはない――少なくとも表立ってすることはない――ので、それはきっと被害妄想に過ぎないのだった。だからきらいだ。

救いがたい馬鹿のくせに真実自分は頭が良いのだと吹聴してまわるやつがきらいだ。

取り繕っても放つ悪臭が目に染みるのだ。ずたずたでめっためったな論理でもって馬鹿にされるのは心底腹立たしいことではあるが、彼らは散漫で、支離滅裂で、対象を指定して攻撃することすらも困難な元祖独り相撲取りといったありさまなので、この苛立たしい気持ちは被害妄想でしかないというのは明白だった。だからきらいだ。

装うことを知らないまっすぐな馬鹿がきらいだ。

心底馬鹿で手がつけられない。暮らしている次元がそもそも違った。未来永劫噛み合うことのない歯車。しかし、両者とも同じ歯車であることには変わりなく、そのせいで彼らはこちらのことを劣った歯車であると早合点してきつく責めたてるのだ。ひどく馬鹿にされていると感じてしまうが、彼らは優越感だのとは無縁の質なので、やはりこれも被害妄想だというのは自明のことだった。だからきらいだ。

まるで秀才としか評しようのない、脳みその出来と行為に乖離のないやつがきらいだ。

明敏さを存分にひけらかしているその様から、こちらが劣等であるという事実を強烈に意識させられる。彼我の圧倒的な差を浮き彫りにしてしまう。間違いなく馬鹿にされていた。程度の知れたつまらないやつなのだ。ほかに言葉などない。両者は同一線上で呼吸している。同一戦上に生存している。その戦いに勝利できないことは薄薄感じていた。それなのに勝利するビジョンを見ずにはいられない。夢想していた。明瞭な妄想だった。だからきらいだ。絶望的にきらいだ。

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