手にはスコップ
背景には雷とざわめく木々
気に入らない奴だったのは確かだ。今となっては顔すら覚えてない。
目の前にあるのは人の形を失った肉片とそいつの鞄
ぼーっとみて優越感に浸る。
今まで普通に生きてきたつもりだった。しかし、普通の生活には飽き飽きしていたんだ。
そんな日常の中こいつに出会った
就職ができなかった私は飲食店でアルバイトをして生計を立てることになってしまった。日々巡ってくる不安は尋常じゃない。このままの生活は何時までも続かない…就職しなければ…毎日こんな事が頭を巡る。
そいつはそんな私を見透かしたように優しい言葉をかけてくる。
「そんな暗い顔止めてご飯でも食べにいきませんか?」
こいつは私の1つ下で私より一年先に入っていた
「ごめん…今日は用事があるから…また誘ってよ…ごめんね」
「そうですか〜わかりました!次は行きましょうね!」
「分かった」
それからというもの何度もしつこく誘われるようになった
私は今まで年下から好かれた事がなかったし、この不安が紛れるのならと思って一度その誘いにのってみようと思った
近くのファミリーレストランに行き、席につく
つくといきなりそいつが話し出す
「言いにくいんですけど…あの……バイトやめてもらえませんか?」