2010-03-31

涼宮ハルヒの消失タイムパラドックスを巡る考察  ※ネタバレ含む


 涼宮ハルヒの消失を友人と見てきた。

 で、映画館を出た後に作品のテーマなんかについて一通り友人と駄弁っていると、友人はふとこう言った。

『ってか、朝倉ってこえーな。キョンに作中十八日の朝、話しかけてた時、同日キョンの横腹刺したことを覚えてたんだろ?』

 この発言に俺は驚きを隠せなかった。

 というのも、俺は作中で彼女キョンを刺した際、その後すぐ時空の修正が為されたものだと思っていた。

 何故なら、そうでもしないとあの時刺されたキョンがすぐにでも死んでしまう状態であったからだ。

 しかし、もし仮にそうだったとしたら、ここには重大なタイムパラドックスが生じるのである。

 というのも、十八日の朝以降、確かにキョンは時空改変に戸惑い、色々錯乱を起こしたりしていた。

 十八日の明け方前に時空修正が行われたのだとすれば、その行動は起こり得ない。つまりタイムパラドックスが起きる。

 よって、キョンが刺された直後に時空修正は行われていないという結論に達する。

 ならば、一体いつ時空が修正されたのかといえば、これは恐らく、キョンエンターキーを押した直後から、キョン病院のベッドで目覚める直前までの間であろう。

 つまり、作中における二十日の放課後から、二十一日のキョンが目覚める期間までの間である。

 逆に言えば、十八日の明け方前から二十日の放課後の間には、時空修正は行われていないということになるのである。

 つまりその間、朝倉涼子が彼の横腹を刺したという記憶は、確かに朝倉涼子本人の中で残っていたのではあるまいか。そうにも関わらず、彼女教室長門の部屋、あるいはエレベーター内において、キョンに対して何の含みもなく会話をしたりしている。

 コイツは恐ろしいことだ……と、俺の友人は言ってのけたのだ。全面的に同意したい。


 ところで、朝倉涼子がそのこと(キョンを刺したこと)を覚えていないというパターンもなくはない。

 というのも、『キョンを刺した朝倉涼子』ノットイコール『十八日の朝以降の朝倉涼子』であるというパターンだ。

 これが一体どういうことかと言えば、つまり前者の『キョンを刺した朝倉涼子』が、十二月十八日の時間修正が行われる以前の時間の、もっとくわしく言えばキョンを殺害しようとして長門に消去されてしまう以前の彼女であり、その彼女十二月十八日の明け方前に、タイムスリップしてきたということだ。

 朝倉涼子原作涼宮ハルヒの憂鬱』にてキョンを殺害しようとしているが、ここには当然長門による妨害が加わってくるであろうことが、彼女には予想できたであろう。

 ならば、彼女時間を越えて、十二月十八日以降の"無力化状態の長門"がいる未来にて、キョンを殺害しようとしたとしてもおかしくはないのではないか。

 そして、それを達成した後に、再度『涼宮ハルヒの憂鬱』における時間軸へとタイムスリップし、夕暮れの教室にて次手であるキョン殺害を果たそうとした。ということなのではないだろうか。

 つまり、キョンを刺した朝倉涼子は、時空が改変される以前の朝倉涼子であり、時空が改変された以降の朝倉涼子とは 別人なのではないだろうか。

 そういうパターンも、有り得る。


 あるいは他のパターンがあるとしたら、彼女が単純にキョンを刺した時の記憶を、十八日の朝の時点で忘れるか、消されるかしているというパターンか、のどちらかであろう。

(因みに、当然十八日の朝以降において、長門キョンが刺されたことを記憶していない。でないと文芸部室においてキョンとのあのようなコンタクトは成立しない。恐らくはあまりにショッキングな出来事だったので一時的に当時の記憶喪失したか、あるいは当時の記憶を何者かに奪われたのであろう)


 タイムパラドックスが起きない条件を模索すると、何やら色々な考察ができるのだなあ、と私は非常に面白く思う次第である。

 因みに俺は原作を『涼宮ハルヒの憂鬱』のみしか読んでない状態で色々言っているのだが、あしからず

  • (因みに、当然十八日の朝以降において、長門はキョンが刺されたことを記憶していない。でないと文芸部室においてキョンとのあのようなコンタクトは成立しない。恐らくはあまりに...

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