同い年なのと、メールのやり取りをしたときのなんとなくスムーズな感じから、また隣県だったので、
「異性だけどセックスはなしで!」と冗談ぽく念を押して飲む約束をした。
最初にメールをして三時間後、私は一時間と650円をかけてその人の家の近くの駅に行った。
気持ちは「なんかあってもまあいいか」だった。
待ち合わせ場所に来た人は、服装からあまりもてなさそうな印象の大学生だった。
居酒屋に行って、よくメールで人と会うの?と聞かれて、正直にこれが最初だと言った。
相手の相づちや話し方から、相手が私にとって話しやすいタイプの人であることを知った。
二回くらい「本当にくるとは思わなかった」と言われた。
私も、自分が顔も知らない人と会う約束をするとは思ってなかった。
深夜彼の家にいって、棚にある漫画を読んで(私はジャンル関係なく漫画がとても好きなので)、
ベッドの上でいっしょにホラー映画をみた。面白かった。
そして眠くなったので、「一緒に寝る?」と言ってみると、なんとなく彼がうれしそうに「うん」と言った。
ベッドの中で話をして、静かになった頃、寝たと思っていた隣の彼の瞳と目が合った。
「むこう向いて」と言われ、彼が腕をまわしてきた。ベッドの中でぎゅっと抱かれた。
腕の位置がつらそうだったので、私が動いて、少し彼が楽なようにした。
彼が「ここに何しにきたの?」と言った。「漫画読んで、PS3あればゲームしにきた」と答えた。
昔、母親が私のとなりで、今と同じように肌を密着させて添い寝をしていたとき、
「熱くるしいな」と思い、手をはなさせ、自分がそっぽを向いて眠った日のことを思い出した。
彼が私の髪の毛のにおいをいいにおいだと言った。
それはシャンプーさえ使えば誰にでもだせるものだと思った。
大事にするように、肌を密着させて抱きしめられた。異性にそんなことをされるのは初めてだった。
彼が隣でねむっていないことは知っていたが、寝た振りをした。
30分くらい寝て、朝になっていたのでベッドから出て、漫画を読んだ。
彼も起きたがすぐに眠り、勝手に帰ろうかとも思ったが、漫画の続きが気になったので4時間くらいこれを読んでいた。これもまあまあ面白かった。
帰りの電車で、彼を好きにならなくてよかった、と思った。
「あなたの優しさが怖かった」みたいな文章。