■どうせこの程度の人生、それが理想的な人生。
『完全自殺マニュアル』という本が売れたことがあった。
たしか東大卒の男が、書いたものと記憶している。
その中にこんな文章があった。
「あなたの人生はたぶん、地元の小・中学校に行って、
塾に通いつつ受験勉強をしてそれなりの高校や大学に入って、
4年間ブラブラ遊んだあとどこかの会社に入社して、
男なら20代後半で結婚して翌年に子どもをつくって、
何回か異動や昇進をしてせいぜい部長クラスまで出世して、
60歳で定年退職して、その後10年か20年趣味を生かした生活を送って、死ぬ。
どうせこの程度のものだ。しかも絶望的なことに、
これがもっとも安心できる理想的な人生なんだ。」
鼻で笑いながらも、内心、衝撃を受けたのが忘れられない。
禅僧一休は、
「人生は 喰て寝て起きて糞たれて 子は親となる 子は親となる」
と、人生の実相を、えぐり出した。
だからこそ、共感する人もいれば、反発する人もいよう。
己の偽らざる姿とは、何と受け入れ難いものなのか。
そこには、「絶望的であり、理想的な」人生が見える。
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