2007-08-10

幼馴染みの恋人

「ねえ、朝だよ?早く起きてよ」

聞き慣れた声で夢から戻され

「おはよっ、たくや。」

眩しい笑顔で夢から覚める。

「はぁぁ、おはよう。ゆう。」

「おはよ、たくや。早くしないとご飯冷めちゃうよ。」

「わかったよ、今行くから。」

「もう、早くしてね。」

幼馴染みのゆうは中学こそ私立に通っていたが、高校はなぜか地元の俺と同じ高校に通うことになったので、毎朝起こしに来てくれている。入学式までその事実を知らなかった俺は、入学式の朝にいきなり俺を起こしに来たかわいい子を見て、ひどく狼狽えたものだ。ゆうは小さいときから小柄でよくいじめられていたが、高校生になっても体は大きくならなかったようで、150cmくらいしかない。だから外見は女性っぽいというよりも少女っぽい。いや、ただの少女というより美少女っぽい。そんなかわいい子が自分の部屋にいたので、夢かと思ってまた寝てしまった。起こされても起こされても夢かと思って寝続けた俺は結局、ゆうと一緒に遅刻してしまった。

ゆっくりと顔を洗い着替えをすませ、下へ降りると、ゆうが料理を前に頬を膨らませていた。

「もう!たくやが遅いからちょっと冷めちゃったじゃない!」

「ごめん、ごめん。」

「ごめんじゃないよ!もう!」

「ごめんね、ゆう。」

そう言って俺はゆうの唇にキスをする。

「つ、次からは早くしてよね…!」

「わかったよ。」

起こしに来てくれるようになってから一月程経ったある日、ゆうに告白された。小さいときから好きだったとのことだが、ゆうが自分を好きだなんて微塵も考えなかった自分は、とても驚き、そして悩んだ。本当に告白に応じてしまってもいいのだろうかと。しかし、今にも泣き出しそうなゆうの顔を見て決めた。小さいときから変わらない。ゆうを泣かせる奴は許さない。その思いに従って、告白を受けた。告白を受けた次の日から、ゆうは料理も作ってくれるようになった。

親が出張中な俺にとっては料理を作ってくれるゆうはとてもありがたいし、その料理を冷ましてしまうのは心苦しいのだが、早く来たら来たでゆうはとてもつまらなそうな顔をして拗ねてしまう。何に怒ってるのか聞いても「何でもない!」としか言わないから、わからなかったのだが、今日みたいに遅れてきてそのお詫びにキスをした日は、そのように拗ねることは一度もないのだから、多分そういうことなんだろう。そう気づいてからは、ゆっくりと身支度をすることにしている。おかげで拗ねたゆうを見ずにすんでいる。

学校は歩いて10分ほどの所にある。ゆうとはいつも手を繋いで通っている。最初は好奇の目で見られたり、ひやかされたりもしたが、今では皆慣れたせいか、誰もひやかしたりはしなくなっていた。ゆうとはクラスが違うので、学校へ着くとお別れだ。だから、この時間がいつもとても寂しく、とても辛い。だからこそ一緒にいる時間が大切なものになるんじゃないのか?と友人に言われたけど、そうは思えなかった。だって、そんなことなどしなくても、ゆうと一緒にいるときはとても輝いているのだから。いつでも、いつも、片時も離れずゆうといたいし、離れたくない。だから、身を裂かれる思いで、仕方なくゆうと離ればなれの授業を受けた後は、朝より少し急いで手を繋いで帰る。離ればなれになった空白を埋めるため、ゆうと抱き合うために。

授業が終わり、今日もいつものように手を繋いで帰った。ゆうは数時間ぶりに会えた嬉しさで、顔を綻ばせるが、すぐに頬を染めて口数が少なくなる。家に着いた後のことを想像しているのだろう。そんなゆうの横顔を見ると、俺も自然に足が速くなり、いつもより更に早く着いた。家に着くとすぐにゆうにキスをした。お互いが貪るように舌を絡ませ、互いを求めた。どれだけの時間が経っただろうか。キスで求められるだけ求め終わった後は、ゆうの学ランを脱がせて、抱き合い求め合った。いつもより激しく、いつもより大胆に。

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