僕が言っているのは、単なる「リアリティ」の話じゃない。設定を細かくしろと言っている訳じゃない。先に言ったように、キャラクターバランスの説得力の話をしている。
一度あげたドラゴンボール(Z以前)を例にとる。ドラゴンボールにおいて、孫悟空は常に導き手に従い、それを克服して、次々取り替えながら成長している。ブルマ→亀仙人→カリン様→神様という具合。悟空は常にロールモデルを持ちながらそれを乗り越えることが「成長」になっている。特に亀仙人はとてもいい加減な性格をしながらも、拳法に関してはとんでもないパワーを発揮したり、非常識な修行を課すことで悟空(およびクリリン)の師匠としての役割を、長期にわたって果たしている。だから、それを悟空が克服してしまうことが、大きな成長を示すひとつの根拠になっている。
ここで悟空の立ち位置になるのが、チルドレン+皆本。で、ちょっと複雑だけど、チルドレンたちにとっては、皆本が成長するべきロールモデルを果たしている。彼女らは皆本を目標に過ごしていけば、成長することができる。ところが、肝心の皆本にロールモデルが無い。だから、彼が優等生みたいな台詞をはいても、モブの学級委員長みたいな薄っぺらさしかないのよ。
じゃあ、なんでここで「バベル」なのか。それは、彼らのアイデンティティだから。彼らはバベルに所属することで物語世界で一定の役割を果たしている。彼ら、特に皆本にとって成長していくことが可能な場所は、バベルしかない(チドルレンたちには、学校があるし、今後のパンドラとの関係もある)。もし彼がバベル以外で成長できるなら、さっさと彼をバベルから外せば良い。それすら拒否をするのであれば、皆本を最初から成長しきった老人として描くしかない。だからこそ、バベルをもっと厚みのある形で書いてくれないと、なぜ彼がバベルにいるのか(いようとするのか)、バベルでどういう成長を遂げるのかが見えないのよ。
という感じで、成長譚として描くなら、本来なら皆本に導き手が必要なはずだけど、それがないにも関わらず、完全無欠なキャラクターとして描かれている(特に精神面)のが気持ち悪いんだよ。一度スランプに陥らせるのが、物語の良いきっかけになると思うんだけどな。
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