利用者は情報交換を重ね、次第に賢くなっていた。グループ間で緊密に連絡しあう手段もできてきた。つまり作り手のウソや過剰宣伝にはダマされないようになったのだ。さらに価格や品質についても広くクチコミされるようになり、利用者のほうが強い立場に変わってきた。消費サイドがリードする時代の到来だ。
新しい時代に入ると、質が悪い、高すぎるなど利用者に受け入れられない作り手はすぐに噂になり淘汰された。信用できない作り手や、煙を大量に出して近隣住人に迷惑をかけていた作り手も見放された。
そんな中、Aチームは、漠然としていた顧客中心の考え方をチーム内で徹底し、自社の都合より利用者のこと、さらに島全体にとってプラスになることを第一(Adovocacy)に考える方針に転換した。そして土器開発に顧客の声を積極的に取り入れるとともに、修理や配達などのサービスに力を入れた。特に彼らが心がけたのは、一律ではなく、一人ひとりのニーズやコンテクスト(背景、事情)をしっかり把握し、利用者に喜んでもらうこと。つまり顧客の満足、感動を目先の売上よりも大切にしたのだ。
Aチームには一気に利用者の共感が集まりはじめた。その評判は連絡手段を通じて島中に知れ渡り、Dokiというマークに特別な愛着を持つ利用者が増える結果をもたらした。島の人々はことあるごとにDokiを友人に紹介し、接する都度、商品改善のアイディアを伝えたりした。ついに、この孤島にもマーケティング3.0の息吹きが到来しはじめたのだ。
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