2010-10-06

サッカー関係者スポーツ報道関係者の皆様にお願い

唐突ですが、サッカー関係者スポーツ報道関係者の皆様にお願いです。

サッカー日本代表監督イタリア人が就任し、「カテナチオ」という言葉新聞に頻繁に見られるようになりました。しかし、「カテナチオ」という表記に非常な違和感が拭いきれません。

イタリア語の-ccioは、カタカナ表記にする場合、「-ッチョ」とするのが一般的です。分かりやすい例として、牛肉の薄切りCarpaccio「カルパッチョ」があります。「哀れな奴」を意味するpoveraccioを表記するには「ポヴェラッチョ」。「デカメロン」を書いた中世作家は「ボッカチオ」と一般には表記することが依然として多いですが、正式にはBoccacio「ボッカッチョ」と呼ばれます。

「チオ」表記になるのは-tioの場合であって、fellatio「フェラチオ」がその典型でしょう。イタリア近代作家D'Annunzioは「ダヌンツィオ」「ダンヌンツィオ」と表記されるのが一般的ですが、「ダヌンチオ」「ダンヌンチオ」でも許容されると思います。

さて、したがってイタリア語のcatenaccioは、カタカナ表記では「カテナッチョ」とする以外にありえません。「鎖」を意味するcatenaに、より劣ったもの軽いものを意味する軽蔑辞-accioが付け加わることによってcatenaccio「カテナッチョ」(掛け金)という一単語になっています。また、イタリア語日本語の発音の差は他の言語ほど大きくないので、「カテナッチョ」と表記してその通りに発音すれば、イタリア人にも通じます。しかし「カテナチオ」では分かりません。

そこでお願いというのは、「カテナチオ」表記をやめていただきたいのです。正しく「カテナッチョ」と書いてください。せっかくの日伊文化交流の大事な一歩です。つまらないことに見えても、異文化を理解するというのは、こういう小さなことから始まるのではないでしょうか。

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