2010-08-17

例えばの話。

友達(女性)が仕事の悩みを打ち明けてきた。

『つらい。もう仕事を辞めたい』

さて、状況について説明しておく。

会社の規模は彼女を合わせて2名。小さな会社である。

1年程前、彼女らは必死の思いでクライアントを獲得した。

彼女メイン担当、もう一人の社員(以下、A)がサブになっているらしい。

クライアントの要求がすさまじいらしく、対応四苦八苦している。

フルタイムで働いているが休日はなく、たとえ自宅で寝ていてもクライアントからの連絡で

叩き起こされ、即座に対応しなければならないらしい。

クライアントからの連絡につかわれるのは90dBに達する呼び出し機が主なのだそうだ。

夜間や深夜の連絡頻度によっては、近隣の住民からの苦情も出る。

勿論休憩時間も悲しいかな、ゆっくり取れたためしがないのだそうだ。

取れたとしても、対応していた間に溜まった別の仕事を片付けなければならない。

それがここ数日の話ではなく、クライアントを獲得してからずっと、だそうである。

この即時対応というのは、クライアント側との契約によるらしい。

即時対応できない場合も無論あるが、それをクライアント側が受け入れてくれることも、

まれにあるらしい。それでも、即日対応が求められるそうだが。

そのような対応をしなければならないのは、契約後数年間ということだが、

彼女によるとクライアントにもよるらしい。

たまたま契約が取れたクライアントが、そうだったと聞く。

無論、他社への転職独立という方法もあるが、メイン担当クライアントを引き連れて転職したり

独立するのが彼女業界の慣習になっているようだ。

要は、一旦クライアントを獲得したら何をどうやっても逃れられないというのだ。

クライアントとどのような契約を交わしたかまでは聞けなかったが、相当縛りがキツいものには変わりは無い。

彼女病気で寝込もうが、クライアントおかまいなし。

仕事を放棄してクライアントからバックレるとどうなるかを彼女に聞くと、このような答えが返ってきた。

「やってやれないこともないけど、それをやると下手すると全国紙の1面を飾ってしまうかもしれないの」

・・・どうやら法的にも罪にあたるようである。世間からのバッシングも凄いらしい。

では、他の人を雇うのはどうか?その間、彼女は別の仕事をすればよいのではないか?

その問いには彼女はこう答える。

「人を雇うにもお金がかかるしね・・・ウチの会社ではまず赤字

そもそも、その人材が見つけてもその人達からOKがでないことには始まらないわ。

赤字にどこまで耐えられるか、ということもあるけれどね」

ならば、Aさんに協力をあおぐことはできないのか?

というよりも、同じ会社の一員としてサポートするのが筋ではないのか?

サブで付いているとは言え、同じ担当ではないか。

彼女淡々と答える。

会社を存続させるために、Aさんは別案件担当していて、それもそれで激務なの。

それにね、夜間の対応だって、クライアントはAさんじゃなくて私を指名するのよ」

「Aさんも、私がクライアントの全ての対応をして当たり前とおもっているんじゃないかしら」

「私の待遇について話し合おうにも、お互いの気力や時間があまりにもなさ過ぎるの」

じゃあ、報酬は?それなりにもらえるんじゃないの?

時間外、深夜、休出。全部合わせるとすごいことにならない?

この問いには首を振り、彼女は答えなかった。

報酬ね・・・」といって、少しだけ苦笑していた。

公的支援もね、考えたの。だけど、そこに行き着くまでが疲れるのよ。

そんな気力も体力もないしね。このまま、私なんかいなくなっちゃえばいいのに」


+++


慢性的睡眠不足栄養不足、さらに休みも無いとなれば体に変調をきたしてしまう。

というかもう、きたしている。その上、報酬もあまり見込めない。

同じ会社社員もあてにならない。どんなブラック企業だと思う?

それは、どこかの国の、どこかの地域の、どこかの家庭なのかもしれない。

クライアント子供

同じ会社社員は夫。

毎日毎日育児家事に追われ、常に子供に気を配ってなければならない。

夜泣きにグズグズ、そして後追い。

90dBの泣き声のシャワーを浴びながら、彼女仕事今日も続いていく。

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