2010-08-13

若者を擁護するつもりはないけれど、あまりにも「これだけのせい」にしすぎたあまり、遂に渡っちゃいけない橋を渡っちゃったなあ、というのが実感。

戦後世代の人もわかってると思うんだ。モノが売れなくなった本当の理由。若者の○○離れは、原因だとしてもほんの一部でしかないということを。でも「本当の理由」を認めるわけにはいかない、という立場じゃないかと。

あれだ、民主党と一緒。先日、参院選で負けた総括として「総理が消費税アップを不用意に発言した」ことにその理由を収斂しようとしてましたが、自民党だって消費税アップの立場だったんだから、誰がどう考えてもその総括がまるで見当違いなことくらいわかる。当然民主党中の人だってわかってたはず。でも正直に「8月以降の失政や幹部の金銭問題」「小沢選挙作戦の大失敗」を敗因だと公言すれば、それはすなわち政権交代以降政府が行ったことや、党の大ボス存在している意味を全否定することになってしまう。党の立場としてそれを「敗因」として公式に認めることは絶対できないから、目につきやすいところにあって、かつ責任問題になりにくい単発的な失言スケープゴート的に「理由」にしてごまかしてるわけで。

それと構造としては全く同じだと思うんだ。ホリエモンのあれとか、商品の安易で見栄えだけの広告コマーシャル連発の結果、継続的に売上を維持できるような「モノづくり」が困難な状況に陥ったりとか、バブル期の売上が異常だっただけにもかかわらず、そこをスタンダードにしてロクに次の収入源になりうる別事業も想定しないまま現在に至ったこととか。それはもう完全な長期的経営戦略上のミスでしかないわけで。

だけど、役員だって普通の人ですから経営責任なんて取りたくない。そこに、ちょうどいいところにスケープゴートがいた。戦後復興の時代は「節約」とかを貧困を理由に美化しがちだったのが、今は食べ散らかしたパイの残りカスをも漁ろうとするから「僕たちこんなに損してます!」と言いやすくなり、さらに一部に廉価で質の悪いコピー商品のばら撒きも発生してくれたおかげで「こんなに悪い奴がいます!」とも言いやすくなったから、これぞとばかりにそれに乗っかって責任転嫁。これまでの状況というのはそういうことだと思っている。

各社、そこまでならよかったんだよ。全部誰かの悪さのせいにして「だから俺のせいじゃない」と胸を張って言ってるだけのうちはそれでいい。でも今回、「悪い奴」を本当に成敗してしまった。責任転嫁できる「便利な」存在を。これを期に「悪い奴」は激減するでしょう。つまりスケープゴートが減るということ。何でそんなことをしたのかわからない。偉い人達は本当に気がついていなかったのか。ともあれこれで近い将来、経営陣は自分の首を締めることになる可能性が高い。首が締まっていることに気がついたとき、彼らは一体次にどうするんだろう。

もし、今度こそ自分の非を認めて責任を取り、または新たな方針でもって会社をきちんと立て直す、という方向に行くのであれば、今回の対応は結果としてよかった、ということになるかもしれない。でも、また別の誰かの別の「悪さ」のせいにしようとするのであれば。ホリエモンのときのように、また新規勢力全員のせいにしようとするのであれば。もしそうなったら、本当にこの国の会社伝統なんかもういらねえ。

http://tsuda.tumblr.com/post/935460617

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