2010-07-03

自殺されて」騒ぐバカ

今日朝日にある記事が載っている。政治家選挙で騒いでいるが、庶民の暮らしはどのくらい鑑みられているか…と世間にある問題を挙げていく記事らしい。今回は自殺についてだ。そこに一人の老人の話が書いてある。

ある日、次男が「どうやら鬱らしい」と言ってくる。ほどなく若い次男は自殺。次男の持っていた本を読んだり、寺で法話を聞いても自殺の原因はわからない…

こんなもの、普通に読めば「原因は鬱だろうなあ」でおしまいだ。自分で問題の基本構造さえわかっていないのに、政治家が問題に取り組んでおらずもどかしいと述べる(つまり、政治家なら問題を解決できるはずだと思っている)のはなかなかに滑稽だ。政治家が対策を打ったら、かれはそれを理解できるんだろうか。

それはまあ措くとしても、この話でおかしいのは「鬱という問題」を(幸運にも)自己申告で次男から告げられ、問題の存在認識できたにもかかわらず、そこで対策をなんらしたふうでもなしに「鬱という問題」が「自殺という結果」に結びついてしまってから騒いでいる点だ。

似たようなことを以前書いたことがある。http://anond.hatelabo.jp/20090904015211だ。DVの被害を止めるためにDV相談窓口の番号を生理用品に書きました、すばらしい!という元記事もまた、「元夫は仕事などが原因で神経症になり、ささいなことで逆上するようになる。」という問題をスルーしておいて、「逆上がエスカレートしてDVが起こり、長男がぶち殺される」という結果が出てようやく騒いでいるわけだ。

どうだろう? わたしにはかれらの言っていることがまるでわからない。わが次男がなんと鬱をほのめかし、愛しているはずの夫が不幸な状況ゆえに神経症を患ったのを、なぜ放っておくのか。

自殺を防ぐ、結構。DVの被害を防ぐ、また結構。しかしそのためには問題の構造を理解し、対応策を講じる必要がある。一番近い当事者でさえ、構造も理解できず、対応もずれている状況は嘆くしかない。だが少なくとも、「いつされるかわからないお上施策」や「公共の窓口」よりも、「隣人の不調を何とかする人がちゃんといる社会」のほうが「あたたかい」と思うし、困った人間を掬いとる率は高いのではないか。

記事への反応 -
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