今日の朝日にある記事が載っている。政治家は選挙で騒いでいるが、庶民の暮らしはどのくらい鑑みられているか…と世間にある問題を挙げていく記事らしい。今回は自殺についてだ。そこに一人の老人の話が書いてある。
ある日、次男が「どうやら鬱らしい」と言ってくる。ほどなく若い次男は自殺。次男の持っていた本を読んだり、寺で法話を聞いても自殺の原因はわからない…
こんなもの、普通に読めば「原因は鬱だろうなあ」でおしまいだ。自分で問題の基本構造さえわかっていないのに、政治家が問題に取り組んでおらずもどかしいと述べる(つまり、政治家なら問題を解決できるはずだと思っている)のはなかなかに滑稽だ。政治家が対策を打ったら、かれはそれを理解できるんだろうか。
それはまあ措くとしても、この話でおかしいのは「鬱という問題」を(幸運にも)自己申告で次男から告げられ、問題の存在を認識できたにもかかわらず、そこで対策をなんらしたふうでもなしに「鬱という問題」が「自殺という結果」に結びついてしまってから騒いでいる点だ。
似たようなことを以前書いたことがある。http://anond.hatelabo.jp/20090904015211だ。DVの被害を止めるためにDV相談窓口の番号を生理用品に書きました、すばらしい!という元記事もまた、「元夫は仕事などが原因で神経症になり、ささいなことで逆上するようになる。」という問題をスルーしておいて、「逆上がエスカレートしてDVが起こり、長男がぶち殺される」という結果が出てようやく騒いでいるわけだ。
どうだろう? わたしにはかれらの言っていることがまるでわからない。わが次男がなんと鬱をほのめかし、愛しているはずの夫が不幸な状況ゆえに神経症を患ったのを、なぜ放っておくのか。
自殺を防ぐ、結構。DVの被害を防ぐ、また結構。しかしそのためには問題の構造を理解し、対応策を講じる必要がある。一番近い当事者でさえ、構造も理解できず、対応もずれている状況は嘆くしかない。だが少なくとも、「いつされるかわからないお上の施策」や「公共の窓口」よりも、「隣人の不調を何とかする人がちゃんといる社会」のほうが「あたたかい」と思うし、困った人間を掬いとる率は高いのではないか。
http://www.asahi.com/national/update/0902/OSK200909020015.html DV相談窓口、生理用品に記載して…長男失った女性訴え 以前はごく普通の仲の良い家族だった。食卓には笑い声が響き、年に数回は旅...
今日の朝日にある記事が載っている。政治家は選挙で騒いでいるが、庶民の暮らしはどのくらい鑑みられているか…と世間にある問題を挙げていく記事らしい。今回は自殺についてだ。...
女性にとってDVというものがある、相談窓口もある、というのはすでに周知されてる情報で、それでも被害で誰にも言えず追い詰められていく背景には、そもそも、物理的に外との連絡を...
私はDVについては詳しくないんだけど、一般的に日常的な不幸ってのは加速度がわかりにくくなると思う。現状に慣れてしまうので、酷くなっていくことに対して感覚が鈍磨するというか...
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/national/update/1115/OSK201011150159.html はてなブックマーク - asahi.com(朝日新聞社):それはDV、気づいて 生理用品に被害相談先 - 社会 大王製紙(本社・東...
「DVが起こるまで何もしないのが正しい」なんてどこに書いてあるの?? とある問題Aの解決法としてα、β、γ…があるとして、 その中のαを実現するという事=それ以外のβ、γ…は実...