2010-05-10

とある人の考え

その人はその分野では結構な権威の人で、前政権下でちょくちょくアドバイザー的な事をしていたり、外国でもその発言はよく取り上げられるような、実績も名声も十二分な人だった。

しかし、周囲の人々は一つだけ不満があった。この人、二十一世紀も10年を過ぎようかというこの時期に、未だにまともなウェブサイトを持っていないのである。いや、あるにはあるが、驚くことにジオシティーズなのだ。

どうやら、10年以上前に当時ゼミに居た学生に一通り更新の仕方を教わったきり、今日までずっとジオシティーズのページに近況や研究成果などをアップロードし続けていたようなのである。ページタイトルすらない、真っ白な背景色アクセスカウンターなどあるはずもない。メルマガ過去ログと見紛うほどにシンプルなページである。

しかしさすがに10年間ともなるとテキストメインサイトといえども容量的に厳しくなってきたらしく、その人は私に相談を持ちかけてきた。当然私は

先生ほどの人の公式サイトが個人向けの無料サービスというのはもったいない。独自ドメインを取得したり、そこにブログなどを設置してみてはいかがでしょうか。名だたる人は皆そうしていますよ。」

と進言した。するとその人はこう答えた。

「なんたらドットコムなどとアドレスを見栄え良くしたからといって、私が掲載する論文や論説の質が上がるわけでも下がるわけでもなかろう。重要なのは、私が公開した論文を誰もが見ることが出来るという事だ。」

とりあえず私は、その人のためにジオシティーズにもう一つアカウント作成し、現在サイトのトップに「使用容量上限に近づいたため新サイトを立ち上げました。アドレスは~」と追記しておいた。

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