「鈴木さん」を呼ぶ
「鈴木さん」は世の中にたくさんいる
多くある名字だ
だが私はこの春に「鈴木さん」ということばを4年ぶりに発音した
この4年間は一度も「鈴木さん」に出会わなかった
私が入社して1年間は通りすがりにあいさつをするだけの関係で
給湯室で天気や季節の会話をかわし
2年目は給湯室のおしゃべりにプラスしてたまに駅まで一緒に帰った
それは片思いが成就した瞬間で 私の胸はぎゅぅっとしめつけられた
どきどきし過ぎて震えるほどだった
キスをしてから3カ月ほど経って私は夢から覚めることになった
「鈴木さん」と二人きりの朝を何度か迎えていた私は 打ちのめされた
結局 二人の関係はフェードアウトしていった
会わなくなってもずっと好きだった
姿も見えないのにずっと片思いを続けていた
ただただ涙ばかり流していた
仕事に打ち込むことでなんとか毎日をやり過ごした
「鈴木さん」と会わなくなってまる3年が過ぎていた
上司に認められてこの春に異動になった
そこで新しい部署に「鈴木さん」がいた
なんてことはない よくある名字である
なのに私は「鈴木」と記入された書類やメールを見るたびにこころが震えていた
見た目も雰囲気も全然違う人なのに
「鈴木さん」の書く文字に、歩き方に、声に、
どこか共通点を探している自分がいる
「鈴木さん」を呼んだ
次のミーティングの打ち合わせのため
ただそれだけ
私の口の中が少し甘い
metooしろよ なに不倫をいい思い出みたいにしてんだよ お前みたいな間抜けがいるから女を食い物にする男がなくならないんだよ わかったかクソビッチ