最初に「彼女」を見たのは10歳くらいだったと思う。
みんなで盛り土の開発工事をしている場所で「秘密基地」だの何だので遊んでいたんだと思う。
それで、たまたま奥の方にでっかい木が一本生えていた。
俺は「あそこに作ればよくね?」といったが友人五名。全員面倒くさがった。
面倒くさがることにいらついて俺一人で「でっかい廃材」とか「でっかい石」とか運ぼうとした。
今だったら「バカだなあもう。俺じゃあはこべねえよ。大人になっても20kgももてなくて日払いお役ご免になったんだぞ」と言いたくなる。
それでもずるずる汗だくで引きずりながら女子に「お前じゃはこべねえよ?」とか言われる始末。ああそうだ、俺じゃ、運べない。
で、すんげー、親しく話してくるもんだから、女子そっちのけ。相変わらずずるずる「黙ってろ」と言わんばかりに引きずっていたのが俺。
しばらくして(つっても1メートルも運んでなかったんだと思う)、友人の一人が(当然男子だ)、「そろそろかえらねえと怒られるぞ」といってきた。
当然、女子も賛同「帰れ帰れ」だの「帰ろう帰ろう」だの何だの。
ようやく俺は女子がいることにきがついたんだけど、やっぱり、最後までそっちのけだった。ダチの方が気になった。
帰り際、後ろ見たけど、知らない奴がつったっていた。背は俺と変わらないぐらいだった。
それから話をほじくりかえして、聞かなくても良いことを友人に聞いたけれど、
友人はさっぱり覚えていないし、仮にいたとしてもいなかったと証言。
俺も素のボケキャラも相まってか、その話は流れる。そうしてそんなやついなかったということになったし、実際そうだった。
その頃ぐらいから、やれホームレスがいる、やれ不思議なものを見たという話が学校で話題になってか、
よく俺は友達と揃って散策に明け暮れたり、俺一人で散策をしたりもした。でも時間や臆病風が吹いてか
「ふつーにあるじゃん、そんなもん」
というすまし顔の有識者ぶったやつにぶった切られて、俺は渋い顔をしていた。お前、つまらないやつだなあ、と。
それからといえば普通だ。俺は内向型の非モテ二次元野郎へと進化を遂げ……たというより単純にそういう風に育っただけだ。
そういう風に育ったから現実も嫌だし、孤独も嫌だし、泣くし、吠えるし、孤立しまくり。嫌になって学校も休みがちだった。
不思議なことはたまに少しだけあるぐらいだった。夜中の窓にノックされたり、見知らぬ女子が勝手に出てきたりとか、そんなもんだ。
よくいうあの世の入口みたいなことめいたものもあったけれど、単に俺が興味を向けず、ぼんやりしていたら逃した。
逃した俺はあとになって探しまくるがそんなもの一つも出てこないという体験で終わる。もう五回も六回もあったが、気まぐれな俺はいつも行かない。
女子も女子で夢に出てきても、互いに言葉なんか交わさなかった。怖いとかじゃなく言葉を放てない。
放とうとしても金魚の口ぱくぱく。そんなんじゃ意味がないと俺も知っていくようになったから黙り続き。
つまんねーのとおもうけど、数回だけ声を聞いた覚えもある。
18くらいに彼女が出てきたときはおめでとうといったくらいだったか。いや、詳しくは覚えていない。別れたあとには慰めが来たか。でもおぼろげ。
不思議なことなんてそんなもんだ。俺も俺で幻覚症状でているというか誰と話しているのかよく分からないことを素でやるからそういうことが起きる。
んで、ついさっきもまた起きた。
そこでつい最近ネットで暴れていたからか、変な書き込みをしていた。いわゆる自爆芸だ。
でも、待ったがかかったみたいに画面から目を背けたら、頭を押さえつけられたように画面なんか見られなかった。
フォーム入稿だったから、修正すれば間に合った。思いっきり修正しようと心変わりしていたからしばらくもがいていた。
ようやく、そいつがまた見えた。「お前、また自爆芸かよ」という目でノーパソぶんどって。
別に他愛のない話だ。変な憑き物がいても害悪がないのは分かっている。
むしろ、有害な方は俺であり、夜中になってまで処女について変な語りをしていた。
窓際で頬杖をついてあいつを書こうとしたかと馬鹿たれな事を考えては、ただの腐ったまるでだめなやろうに育っているなと俺は思う。
現実で癇癪を起こすようになったのが、ただネットに癇癪を起こすようになっただけかなとか。
でも、かけたらなあと思って二次元に逃避していたかとかどうでもいいことを今更考えている。
結局、拙い文章しか書けないし、文法も支離滅裂だし、言いたいこともろくに伝えられないもんなあとかな。
頭を冷やしてエディターも立ち上げようとしたけれど、やっぱり俺じゃ無理そうだった。
このまんま普通に暮らして普通に死んでおしまい。悪くはないが、なんか、胸くそが悪い。
気を抜いたら一人称普段のまんまだった。やっちまったんだぜ。