僕には好きな人が居て、その人はとても弱い人だった。
彼女はとにかく頻繁に泣いた。
「変わりたい」といっては泣き、「自分が不甲斐ない」と言ってはまた泣いた。
僕は彼女の涙に対してどうすることもできなかったし、なにかしようともしなかった。
ただ、彼女は泣いていても真剣に話をすることの出来る人だった。
だから僕も真摯に彼女に向き合って、その話に耳を傾けるようにしていた。
彼女のことを弱いと思っていたのは僕だけで、僕以外誰も彼女の涙を見たことがなかったと知ったのは随分後になってからのことだ。
少なくとも僕の知る彼女は常に自分の弱さに苦しみもがいていて、
ときどき思い出したようにうちに来ては、涙を流すのだった。
ひとしきり泣いた後、彼女は決まって凛とした顔つきになって、「よし。」というのだった。まるで新しい自分にスイッチを入れるみたいに。その瞬間の彼女の顔は今も僕の脳裏に焼き付いている。地獄の業火に焼かれようとも、あの美しさを忘れることはないだろう。
彼女が泣きやんだあとは、2人でくだらない話をしたりテレビを見たりゲームをしたりした。そうして終電の1本前の電車で必ず彼女は帰って行くのだった。
彼女が僕の前で最後に泣いたのはいつのことだったか僕は覚えていない。
彼女は急に泣きそうに微笑んで、君は強いよね、と小さくつぶやいた。
その声はまるですべてを拒絶しているかのように響いて、僕はそれ以上なにも聞くことが出来なかった。
僕と彼女が2人で居る時にお互いなにも喋らないということはよくあって、僕はその沈黙も決して嫌いではなかった。けれど、そのときの沈黙はいつもとは少し空気が違っているように感じられて、ひどく息苦しかったのを覚えている。
やがていつもの時間になって、彼女はそろそろ帰るね、といった。いつものように。
それからも彼女はときどき遊びにやって来た。やってくる頻度は随分減ったし、もう泣くことはないけれど。
最後に彼女に会ったとき、その左手には指輪があった。僕には与えることの出来なかった薬指の眩い輝き。それはきっと、そういうことなのだろう。
いつか彼女も母になって、それでも涙を流すのだろうか。だれよりも弱かったけれど、だれよりも強かった彼女のことを、僕は大好きだった。
嫌いじゃない。こういう文章。
http://anond.hatelabo.jp/20091016211552 上手くいえないけど、ぐっとくる話。 心がじんわり熱を持つんだけど、頭は酔いが醒めるみたいに血が下がる なんかそんな気分になる。
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口調や単語のチョイスがダサい。陳腐で読むに耐えん。
元増田ですが、自分でも書いててそう思いました。 もしお暇なら添削というか、この文章はこうしたらいいんじゃない、みたいなことを教えて下さると嬉しいです。
この文章はこの文章でもうかなり完成されているので難しいのだけれど批評家気取りで思ったことを。 まずは特徴を挙げてみる。 ・改行を有効的に使っていること。 ・時制の観念が...
増田はいつも女に自分の物語を押し付けるだけで、女の本当の人間性そのものに向き合ったことってないんだろうなぁ。
増田はいつも女に自分の物語を押し付けるだけで、女の本当の人間性そのものに向き合ったことってないんだろうなぁ。 (http://anond.hatelabo.jp/20091016224701) いやー、さらりと書かれてい...
元増田の文章の中で、「彼女」は非常に印象的に描写されている。 この文章の中の「彼女」は美しい。まるで文学作品の主人公が恋する女性のように。 でも「彼女」は本当はそんなに美...
「泣く人は弱い人なんだろうか?」という、どことなく思っていた疑問に元増田のエントリーがヒントをくれた気がする。 確かに、元増田が好きだった良く泣く女性は、一人で自分...
なんだ。普通に良い文章じゃないか。 これくらい女性に幻想を抱いている男の方が伴侶を幸せに出来るよ。 うらやましい。
こんな文章を褒めてる奴がいるが、お前らセンチメンタリズムの質がベタなんだよ。同じ質(タイプでもありクオリティでもある)の自己陶酔を共有してるだけ。
別に邪鬼眼でもなんでもいいけど、 文章というか人格を誉めてるだけだよ。 元増田が失敗したのは、奥手すぎた。
わけがわからないなwww 元増田の文章の中で、「彼女」は非常に印象的に描写されている。 だからどうした? じゃあたとえば、印象を残さないように描写すればいいとでも? こ...
きもい。 あんたは彼女が好きだったんじゃなくて、彼女をネタに妄想した物語が好きなだけ。
似たような文章を書く人を知っています。 その人の書く文章に登場する女の子は、とてもキラキラして魅力的でした。 女の子は好きな人にしか弱みを見せないんですよ 彼女もこの人...
女の子は好きな人にしか弱みを見せないんですよ そんなの人による。 自分に好意を持っている男をいいように利用するために涙を流す女だっている。 彼女もこの人のこと大好きだっ...
結局2人は付き合っていたの? それが気になるんだけど。 彼女にしてみれば、「増田には弱いところしか見せられなかった」と思っているのかも。 いや、かつての自分がそうでさ。依...
最後に彼女に会ったとき、その左手には指輪があった。僕には与えることの出来なかった薬指の眩い輝き。それはきっと、そういうことなのだろう。 「それはきっと、そういうことな...
http://anond.hatelabo.jp/20091016211552 http://anond.hatelabo.jp/20091108090803
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