教会や修道院が領主として農民に奴隷的労働を強制するのはよくあることでした。
クソな労働環境文化が、なぜか突然、消え去ったのでしょうか?
もちろん、クソ労働環境の原因の一つはそういう労働文化だったでしょう。
領主も農民も、そういうクソ労働環境を当然のこととする労働文化を内面化しており、領主は農民を奴隷のようにこき使うのが当然と考え、労働者にはそれを受け入れてしまう奴隷根性が染みついていたのでしょう。
しかし、クソ労働環境文化など、経済的な前提が変われば、吹き飛んでしまうものなのです。
大開墾運動でした。*1
領主達は、自分の所領の森を切り開き、畑にし始めました。
森を切り開いて畑にするには、人手、すなわち労働力が必要です。
そこで、領主達は入植者を募集しました。
わざわざ新しい開墾地に「転職」する理由がありません。
待遇が変わらないのであれば、わざわざ今までの生活を捨て、苦労して森を切り開いて畑をつくるなんてバカバカしいので、それでは人は集まりません。
そこで、領主はいままでよりもずっと有利な条件で入植者を集めることにしました。
具体的には、賦役労働はなく、定率や定量の税だけ納めればいい、というような条件でです。
こうして、森が切り開かれ、新しく畑が作られると、領主の収入は増えました。
農民も、いままでよりもずっとよい待遇になったので、幸せになりました。