2009-09-13

オレは体が大きかった。

一族の戦に出るときには先頭に立っていた。

オレの粗暴さには定評があり、右に出るものはいなかった。

意見は絶対で、誰しもが黙った。

逆にオレのような人間でなくては一族をひっぱっていくことはできない。

しかし、農耕の発展により人口は急速に増えていて、

近隣の地区との争いは年々増えるばかりだった。

オレは争いを繰り返すばかりの日常に飽き飽きしてきた。

南の海の向こうにはまだ米作が伝わっていない土地があるという。

その土地の奴らは未開人だから、青銅器さえも使われていないだろう。

これはチャンスだと思った。

戦に疲れた一族を連れて海を渡った。

予想した通り、海の向こうの土地では連戦連勝だった。

その土地の奴らは戦いなどは知らない民族だった。

農耕が発展していないということは、そもそも人口密度が低い。

人口密度の低い土地では争いなどは発生しない。

戦いの技能が発達するはずもない。

戦いに明け暮れていた我が部族にとっては、赤子の手をひねるようなものだった。

おれ達が持っていった青銅器も大きく貢献した。

瞬く間にその島国の半分ほどを支配した。

オレは王の中の王という意味で「大王」を名乗ることにした。

だが、あるところまで国を広げたところでオレは病に倒れた。

この国の全土を支配したかったのだが、そこまで運がついていなかった。

まあオレの国は勢いだけで作ったような国だしすぐに滅ぶだろうと思っていた。

原住民どもを大量に殺したことの恨みもある。

だが、不思議なことにオレの国はその後もずいぶん長持ちしたようだ。

もちろん、「自分よりも小さな、見目良い女性を選ぶ」という王族ありがちな失敗を繰り返したために、

代々の天皇はどんどん小さくなり、女性的になっていった。

初代のオレとは似ても似つかない人間になっている。

ほとんど他人と言ってもいいだろう。

だが、これだけ王朝が長持ちしたことについてはオレについてもなんらかの功績が認められてもいいように思う。

ただの野望を持つ乱暴者だったとしてもね。

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