2009-07-09

酔っ払い親父vsチャラいお兄ちゃんin電車

もう何年か前の出来事。

その頃自分は定職についておらず、日雇い倉庫ピッキングをしていた。

周辺の日雇いバイトの中でも指折りの厳しい職場だった。

自分経験したいくつかのバイトの中でも、もうしたくないバイトとして1、2を争うくらい。

そんなバイト帰り道電車での出来事だった。

大学生くらいのお兄ちゃんが携帯で、あたりを気にせずしゃべっていた。

もう携帯電話マナーはそれなりに行き渡っていた頃で、周りの人もなんとなく見てる。

そんな中、彼に声をかけた酔っ払いの親父がいた。

「おい、お兄ちゃん。ここは電車の中だよ。電話はやめようや」

酔っ払い親父VSチャラいお兄ちゃんの戦いは火蓋を切らず、

お兄ちゃんは通話先に慌ててわびると、マッハ電話を切った。

酔っ払いだけどGJ!!

よく言った、おっさん!!

車内は一気に二人を生温かく見守る雰囲気に。

親父は従順なお兄ちゃんが気に入ったらしく、彼が電話を切ったことを褒めたりして、

しばらく絡んでいた。

やがて親父は財布から五千円札を取り出して、お兄ちゃんに差し出した。

「ほれ、受けとんなよ。携帯電話切ったご褒美。俺ぁ今日競輪で勝って機嫌いいのよww」

え?ちょ、おっさんww

今さっきまで、おっさんこの小さな車内でヒーローだったのにww

その五千円イミフww

おっさんの株、大暴落ww

携帯切るのは当たり前で、ご褒美もらうようなことじゃないww

お兄ちゃんは当然断っていたのだが、いいからいいからと押し付けられて、

結局受け取っていた。

「ありがとうございます」って恥ずかしそうながら、すごい笑顔だった。

当時私の日給はたしか七千円あたりだったのだが、交通費等をさっぴくと、

実質六千円くらい。

私が一日かかって稼いだ金額のほぼ同額を、

車内マナーを守っていなかったお兄ちゃんが一瞬にして手に入れるこの理不尽

車内マナー守らないから、誰か俺にも五千円くれ!!

思わず心の中で絶叫してしまったとしても、罰は当たらないと思う。

おっさんは機嫌がよくてお金をあげただけだろうから、誰も損した人はいない。

お兄ちゃんは通話相手と一緒に、

あぶく銭で酔っ払い親父を肴に、楽しく一杯飲んだのかもしれない。

私は釈然としないまま電車を降りた。

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