2009-01-18

博士課程に進学する子供の素質を見極める、たった一つの冴えたやり方

『あんた、学振に通る見込みあるの?』と聞けば良いです。

まず、学振とは日本学術振興会特別研究員のことを指します。

特別研究員制度は、我が国トップクラスの優れた若手研究者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者養成・確保を図る制度です。 (特別研究員−日本学術振興会

採用者には年間100万程度の研究費と月額20万の「研究奨励金」という名の給与が与えられます。もし、博士課程1年から採用される特別研究員DC1)になれたなら3年間で約1,000万円が国から支給される、学生に取っては素晴らしい制度です。

ちなみに、平成20年度のDC1採用者数は698人です。つまり、最初の問いは以下のものと同義です。

『あんたは全国で700人の中に入る自信があるの?』

それでは息子(娘)の危険な反応について整理していきます。

  • え、学振ってなに?
    • 修士課程1年の終りになっても学振について知らないのなら、子供には進学を諦めて貰うべきです。環境が諦めろと言っている。
  • あれは学生の優秀さとは無関係だから。全ては指導教官政治力とかコネで決まるの。
    • 全力で博士課程進学を阻止しましょう。全く向いていません。子供には『いつまでも人のせいにしてろ、クズ』と言って目を覚ませてあげましょう。学生が本当に優秀なら採用されます。また、優秀な指導教官の下に付くことも立派な能力です。
  • ムリムリ。面倒だから応募もしないよ。
    • 確かに学振は難しいです。でも初めから諦めて採用されるための努力ができない人は研究者に向いていないので、やっぱり止めましょう。
  • ヨユーヨユー。楽勝だよ。あの先輩でも取れたんだし。
    • 日本全国全分野で700人ということは、自らの専門分野における自分指導教官能力が全国トップクラスでないと貰えません。『人生はそんなに甘くないぞ、バカ』と諭すべきです。いくら優秀でも、落ちるときは落ちます。

さて、勘違いして欲しくないのは、学振の結果が全てじゃないことです。「学振採用される=研究者として合格」でもないし、「学振に落ちる=研究者として不合格」でもありません。学生にとって一番大切な能力は、学振の結果に関わらず「研究一生懸命続けること」であって、今回の問いはその覚悟を少しでも見極めるためのものです。 子供が、

  • 学振には通らないかもしれないけど、どうしても研究を続けたいんだ。

と言ったなら、スネをしゃぶり尽くされることを覚悟して、子供才能に賭けてみませんか?

 

参考:息子(娘)の博士課程進学で親ができること (ちなみに自分は親ができる限りの仕送りをすることは反対です。研究時間の確保は大事だけど、子供ダメになると思う)

  • 残念ながら,今年度から研究費が100万から減額されたそうです。 研究費を少なくして採用人数を増やそうとしてるらしいけど,ほんとかは不明。 うちの研究室はドクター全員持ってる...

    • 残念ながら,今年度から研究費が100万から減額されたそうです。 具体的な金額までは知らないけど,けっこう減ったらしい。 研究費を少なくして採用人数を増やそうとしてるらし...

  • 6行上と矛盾して平気なまま自信たっぷりな文章を書ける才能にある種嫉妬を覚える 学生が本当に優秀なら採用されます。 いくら優秀でも、落ちるときは落ちます。

  • DC通っても,DC抜けた後のPDはさらに狭き門らしいね。 下手にDC1通ったからって進学して, PD通らなくて涙目ってこともあるらしいよ。

    • DC抜けた後のPDが厳しいっていうのは知っているんだけど、DC使わずに博士取った方がPDは取りやすいの? 俺は、端的にいえば家が裕福で、博士の学費・生活費出してもらえる状態。 卒論...

  • 『学振は学生の優秀さとは無関係だから。全ては指導教官の政治力とかコネで決まるの。 』と誤解しているあなたへ、そして、博士課程進学と学振DC1申請を本気で考えているあなたへ贈...

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