2008-12-16

[][]「この金融政策が日本経済を救う」高橋洋一 ←日本経済を救う根拠はどこにも書かれていない

「この金融政策が日本経済を救う」(光文社新書高橋洋一 について

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/da64d8628af2b3d9223f3699d4b2401b

インフレ目標についての主張は、かつてに比べると後退していてわかりにくい。

デフレのとき実質金利マイナスにできれば望ましいのはおっしゃる通りだが、それを実現する手段が不明だ。クルーグマンも認めたように、デフレのとき中央銀行インフレ期待を作り出す手段はないのだが、「効果の波及メカニズム」についての説明がない。かろうじてそれらしいのはシニョレッジだが、これは著者も認めるように金融政策ではなく財政の問題だ。

金融政策の入門書としては「世界一簡単」かもしれないが、それが「日本経済を救う」根拠はどこにも書かれていない。よく読むと人為的にインフレを起せるとは書いてないので、著者も(師匠バーナンキと同様)リフレ政策は放棄したのだろう。

バーナンキのように、自然率におかまいなしに(それを下回る)超緩和政策を5年も続けると、今のような悲惨なことになるのだ。

重要なことは、日本経済の直面している問題は単なる「景気回復」ではないということだ。百歩ゆずって著者のいうマイナス金利自然率との乖離がなくなったとしても、それは低い自然成長率で安定するだけで、日本の長期衰退は止まらない。本質的な問題は、成長率を上げる規制改革だ。霞ヶ関構造改革孤独な闘いを続けた著者が、それと無関係に古いケインズ的な金融政策を主張するのは奇妙である。問題は景気じゃないんだよ、わかってるだろ?

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