2008-12-10

生き残りたいクリエイティブ業界は多様化を否定すべき

雑誌が崩壊の一途を辿っているのは、一つはインターネットというメディアに押されて現代人のライフスタイルの中で存在できる場所を失っているから、というのはもちろん大きな原因の一つだろう。だけど、あまりにも多様化するニーズに追われて雑誌自体が細分化し過ぎて行ったのも雑誌を自ら崩壊させた原因の一つだと言うことができる。

マンガ雑誌を例にとると、『少年週刊ジャンプ』は今やオジサンとなってしまった世代の絶対的な存在であった。週刊少年ジャンプこそが『ジャンプ』であり、今でこそ月曜日になってしまったジャンプの発売日は、以前は火曜日だったのだ。火曜日ブルーマンデーを乗り越えた少年たちへのご褒美であり、ジャンプを読まない火曜日なんてそれは火曜日ではなかった。そのくらいの存在感をジャンプは示していたのだ。だがいつの日かジャンプはいくつかの成年誌へと派生し、分裂し、細分化されて行った。マンガ家は多くの活躍の場所を得て、『ジャンプ』でマンガを描く必然性は無くなった。多くのマンガ家は色んな場所へ分散して行った。宇宙が膨張していくように、多くの生物進化して細分化されるように『ジャンプ』は多様化し、細分化して行った。それは時代が求め、消費者が求めた変化なのかもしれない。だがいつの間にか、『ジャンプ』は細分化された事で力を失って行った。毛利元就三本の矢が一本になるように、多様性がもたらしたものは脆弱性であった。

携帯電話も同様だ。いつの間にか細分化、多様化のスピードについていけず、脱落している現代人が多くなっている。時代の最先端製品について行っている者は極僅かだ。早すぎる進化によって、ユーザーの分布はロングテールになりつつある。8メガピクセルカメラ付き携帯CMで見かけるが、そこにはカメラ付き携帯が初めて出た頃のインパクトも需要も無い。今までと同じような開発費、広告費をかける意味合いはあるのか。これ以上の多様化がユーザー業界幸せにするのか。考えるべき岐路に来ているのではないだろうか。

現在求められているものを例えるならば、Web3.0ではない。Web1.5だ。

分化、多様化によりユーザーを置いてけぼりにするのではなく、ユーザーに遍く受け入れられるインターフェイスデザイン重要だ。そして、何よりも資源選択と集中こそが重要だ。今までと同じような散漫な多様化、細分化を追い求める業界未来は無い。あらゆる資源は枯渇するだろう。宿命のように、選択と集中を迫られる。それは、三本の矢を一本にまとめるように、進化の過程を逆に辿るように、ロングテールを圧縮するように。

http://anond.hatelabo.jp/20081210142601

記事への反応 -
  • 雑誌が次々と廃刊している。何十年も続いた権威ある雑誌がやめたと思えば漫画雑誌もなくなる。文芸書は目も当てられない。有名作家でも初版5000部で重版なし、なんてこともある。今...

    • 雑誌が崩壊の一途を辿っているのは、一つはインターネットというメディアに押されて現代人のライフスタイルの中で存在できる場所を失っているから、というのはもちろん大きな原因の...

    • お、それはいい視点だと思うよ ただ、嘆くんじゃなくて、ポジティブな視点でね 今後数年は、金銭的に不自由になる時代が続くだろうから、その間のつなぎ(といっては失礼だけど) とし...

    • 夫の働きだけで経済的安定を得て悠々と生活できる主婦、なんて層も今後いなくなっていきそうな気がするけどな そもそも晩婚化・非婚化して来てるし、結婚したとしても共働きじゃな...

    • 「クリエイティブ」の定義が狭すぎるんじゃね 挙げられてる分野がレガシー分野ばっかだから、そこが塗り替えられていくのは当然だと思う。

    • その程度でスポイルされるようなものを才能とは呼ばないし、まして創造性などとは口が裂けても言えない。主婦であろうがフリーターであろうが才能のある人間はいかなる瞬間にもクリ...

      • 要はやるかやらないかだよなー。 それはほんとそう思う。

      • 「その程度」だとか仕事もクリエイトもなめすぎだな、お前。

      • 同意。 クリエイティブっていうけど、本当にクリエイティブだと感じてるのだろうか? 今評価されていない売り上げが下がった作家とかは、それがそのまま評価だと思う。 評価されて...

        • 売れない=ツマラナイ と断じておいて、つまらない本を挙げてみせているが、 本屋の店頭に並んでいる本を立ち読みすると、中身がなさすぎて買う価値を感じない。薄っぺらいんだよ...

          • 横からだけど、いま、重厚な本は売れないのよ。 「薄いor重厚」、「売れてるor売れてない」の2特徴を組み合わせて、4種類作れるでしょ? 元増田氏の好みはきっと重厚な本で、売れ行...

    • ルネサンス期のように一部のパトロン達が支えて行くんじゃないかなあ。 小室哲哉が「あなたのために特別に製作したCD」をプレゼントしたのは、クリエーターの未来の姿を予兆して...

    • テレビドラマの脚本家の講座は主婦が大多数らしいよ\(^o^)/ というか主婦じゃないとそのための勉強が無理らしい\(^o^)/ http://anond.hatelabo.jp/20081210142601

    • そういえば私が仕事したことある イラストレーターやデザイナーやソングライターって みーんな主婦だ。なんか関連あるのかなあ。

    • 夫の働きによる経済的安定と家電の発達による時間的余裕を手に入れた主婦がクリエイターをやるようになる。 基本それでいいんじゃないかな。そもそもクリエイティブ職が市場原理...

    • 最近村上春樹さんのエッセイ読んでるんだけど 「10人読んで1人コアなリピーターがつけばいい」 といってる。 喫茶店経営の時と基本的に変わらないらしい。 それで生活できるかどうか...

    • そんなにクリエイターはいっぱい必要ないんじゃないのかな? 才能のある人のところにお金が集まり、 パトロンがつかないクリエイターは消えていくだけなんじゃ? 江戸時代の作家みた...

    • 変にパトロンがつくと何もしなくなる。ニートと廃人主婦の時間の無駄遣いのすごさを知らないでしょ

    • しまったバレてる。子育て終わったから、創作に戻ってくるっていう主婦クリエーターは、これから増えるかもしれないね。報酬は貴方の抱擁だけでも良いと思えばこそできる創作活動。

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