大学のゼミの懇親会にOBとして参加したのだが、そこで後輩の女の子と再会した。
在学中からとても利発な女の子で、研究室内のあれやこれやの雑事を引き受け、
先生の秘書的な役割を担い、飲み会でオヤジと化した教授達からのセクハラも受け流す
良くできた子で、人に向けるその笑顔は本当に屈託がなかった。
だから、俺の脳内ビジョンではとても美人なアバターに設定されていた彼女だったのだが、
久しぶりに顔を見たら、あれ、そうでもないな、というのが第一印象だった。
まあ、同窓会にありがちな話なので、そういう事もあるよな、と納得しかけたが
しっかり目を見て話をしてくれたりして、好印象なのは相変わらずだった。
「○○さんがホステス状態になってるから助けてあげて!」などと
他の女子に耳打ちしたりしてるのを見ると、ああ、やっぱり凄い子だなー、と
再認識して、ありがちな表現なのだが彼女がとても眩しく見えてきた。
そんなこんなで彼女が男のどこを見るのか、という話になったとき
彼女が「いやー、あんまり私外見とかにお金かけないんで。年取ったらどうせ老いるじゃないですか」などと言うので、
「でも福山雅治とか40越えてもカッコいいじゃないですか。」と他の後輩が言うと、
「いや、外見で判断するとカッコいいってだけでフィルターがかかっちゃって、
本当にいい男かどうかわかんなくなるじゃないですか。だから、私は男は外見で判断しないことにしたんです。」
などと全国の非モテ男が目の前で言われたら死ねるセリフNO1を、まったくの嫌味もなしにさらっと言い切るではないか。
現場でその台詞を聞いた限りでは何の計算高さも感じられない率直な言葉だったと思えた。
そしてたとえ嘘であっても、その純朴だが清楚なオーラに殉じてみたい、と思わせるくらいの崇高さが感じられた。
だが、目の前に理想的な女の子がいて、じゃあ、自分が彼女に対して何かアクションを起こせるか、
と考えたらそれは無理だと思った。
男は顔じゃないなどというリアルではにわかに聞きがたい台詞を言われたとして
それを発するような彼女に足る男なのだろうか俺は、などという自問自答があり、
彼女は俺にはもったいない女性だ、という何か勘違いした思考に陥り、
結局何もできずじまいに終ってしまう。
結局、相手が理想的どうこうという問題ではないのだ。
そう思い至るにつれ、自分は布団の中で自分の自信のなさに非モテの殻を被せて、
そのままふて寝してしまうのだった。
>> 男は顔じゃないなどというリアルではにわかに聞きがたい台詞を言われたとして そして、それが真実の言葉と信じられるとして、 それを発するような彼女に足る男なのだろうか...