高校時代、監督にぶっ叩かれながら毎日真っ黒土塗れになって、必死にボールを追いかけ走り回った。
初心者なうえ適性も肩もなかった私だが、なんとか試合には出させて貰えたこと、
大きな怪我もなくほぼ皆勤を通したことが自慢だ。
高校入学直後、入部する旨を告げると母は喜んでくれた。
一式何万もする道具や練習着を買うのに、はいはいとお金を出してくれた。
それを無駄にすまいと、辛い時期があっても辞めようとは思わなかった。
最初は気恥ずかしかったけれど、両親は毎回試合の応援に駆けつけてくれた。
私の汗とグラウンドの養土がめり込んだ練習着を洗うのを手伝ってくれた。
買った時は目に痛いほど鮮やかだったミズノのグローブは色褪せたが、愛おしい思いは変わらない。
久々に触ると黴臭くなっていたが、私なりに大切に保管していたつもりだった。
先日半年ぶりに実家に帰った時、母は家中を隈なく掃除していた。
私が自室で勉強しているとき、母に呼ばれたので駆けつけたところ、母の手には私のグローブ。
「あんたのこのグローブ、もう捨てるからね」
確かにもう頻繁に触ることもなくなったし、ちょっと黴臭い。
キャッチボールをする相手だって、今では気軽に呼び出すこともできない。
でもそれ、どう見ても私の青春の象徴だよ。
少なくともゴミに出すなんて選択肢がないことぐらい、母だってわかってると思ってた。
言われた直後、自分の母がこんなことを言ったという事実に順応できず、しばしフリーズした。
「そうだよねぇもう使わないし汚いから捨てちゃってー」なんて、私が言うと思ったんだろうか。
結局必死に抵抗して反論して、捨てられることは免れたが
「あんたが大事にしてないのが悪いんでしょ」と言われて涙が溢れた。
大事にしてないなんて私がいつ言った?大事に大事に桐の箱に詰めておけばよかったの?
この時だけじゃないんだ。たまに普段の母とは思えない言動に遭遇して、それに順応できないこと。
基本礼儀正しいが親しみやすく、私たち家族を包んでくれる優しい母だけに。
( 追記 )
トラバ・ブクマありがとうございました。見返す人はもういないと思うのですが、一応。
男女タグ付いてますが、男女じゃないのでそこだけ弁明しておきます。
世の中には色々な人があり価値観があります。特に「物を捨てる/捨てない」ことについては、客観的な基準なんて一つもないということは、知っておいて損はない人間世界の一つの事実...
私も母に、「もう卒業したんだし制服要らないでしょ? 捨てるよ」って言われた事有ったなぁ。 そういうものは使わなくても取っておくじゃん…と流石に呆れたけど、 言うまでもない...
そのグローブ、どこにおいてあったの? スペースは有限なんだし、大切なものなら実家ではなく一人暮らしの自分のところで保管すればいいのに。
普通は捨ててから言われるもんだよそれ http://anond.hatelabo.jp/20081029152230
「モノより思い出」。以上。