2008-08-25

「税率が上がること」と「増税」は違うんだって

たびたびマスコミ政府による増税は批判され、

増税による歳入増よりも無駄を減らして歳出削減を目指せ、と言われる。

そして、ネット上の言論を見ても同様の論調は2ちゃんねるをはじめとして、

はてな界隈でも多いように思われる。

このこと自体にも賛否はありそうであるが、

ここでは歳入増よりも歳出減を目指すべき、という考えは正しいとしよう。

しかし、税率が上がること=増税(歳入増)という議論は正しいのだろうか?

たとえば、消費税が5%から7%に上がったとしよう。

これは「増税率」であり、おそらく「増税」である。

なぜなら、税率が上がって消費が落ち込んだとしても

基本的に一般的な消費を減らすことは難しく、総量としての消費量の(少しの)減少を鑑みても

政府の税収入は増加するに違いないからである。

(いわゆる弾力性を考えたときに、すべての消費の弾力性なんて小さいに決まってる!)

しかし、ピンポイントの狙い撃ちの増税率はどうだろうか?

たとえば、タバコ税がめちゃくちゃ上がって一箱1000円になるという議論があるが、

これは増税になるのだろうか?

タバコが死ぬほど好きな人には申し訳ないが、大多数のタバコをまんねり的に吸っている人は

一箱1000円になれば、さすがに消費を減らすだろう。というか、禁煙を決意するだろう。

嗜好品であるタバコ弾力性が大きく、消費量自体が激減したとき、

タバコによる税収入は果たして増加するだろうか。

増税率分以上の消費量の減少となれば、税収入は当然少なくなるのである。

つまり、増税率→税収入減という流れだってありうる。

先生方や霞ヶ関タバコ税率を上げて、税収入増とのたまっているが

もう少し真面目に計算をしていただきたいものである。

一方、タバコ税率の上昇に対して、脊髄反射的に増税だ!歳出削減しろ、と叫ぶマスコミ

国がもし、タバコ税率上げる→国民タバコを吸わなくなる(歳入減)→肺ガンが減少する→国民医療費削減(歳出削減

という流れを考えていた場合、どう言い訳するんだろう?

結局、弾力性やインセンティブという(いささか古臭い)考え方をきちんと理解してないと、

狙ったことを実現できないし、目の前で起こることとその帰結を理解できないんだと思う。

普通企業は売り上げを増加させようとしたら、値上げをするに違いない。

数年前にマクドナルドが全面的に値上げをして、過去最高の売り上げか利益を叩き出した気がする。

でも、これは値上げ幅が客の減少を超えた場合にのみ起こる。

東京からたまに地方都市に行くと、異常に鉄道バスの値段が高く感じる。

あれは利用客減少→運賃上げる→さらに減る→ジリ貧というダメスパイラルに陥っている例である。

マクドナルドとは逆の戦略に出た企業もある。

数日前にデニーズがこの時期に値下げをするという報道があった。今、ほとんどの業種が値上げしているこの時期に。

それは「値下げによる売り上げの減少」以上に「客数の増加による売り上げの増加」が多いと見込んでいるためだろう。

この戦略が吉と出るか凶と出るかはわからない。

しかし、値上げが必ずしも売り上げ増には繋がらないし、値下げが必ずしも売り上げ減に繋がらないってことは

みんなわかってるんじゃないの?

つまり、税率が上がるのと増税(税収入増)は違うんですよってこと。

(あ、タバコ税を例に挙げたけど、だからってタバコの税率を上げろって言いたいわけではなくて

弾力性の例示のためです。いちおう、念のため)

  • 税率上げられたら、税金対策を徹底するか、その税制が及ぶ区域から逃げようとするでしょ。 高い税金取られてまで金持ちは日本に住もうと思わないでしょう。 税率アップするほど税収...

  • >なぜなら、税率が上がって消費が落ち込んだとしても >基本的に一般的な消費を減らすことは難しく、総量としての消費量の(少しの)減少を鑑みても >政府の税収入は増加するに違...

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