わが子を自分探し病から守る 前編
http://anond.hatelabo.jp/20080715002131
からの続きです。
もちろん、夫婦に限らず、友人でも親子でも兄弟でもどんな関係でも、存在意義を確かめられる関係は成立し得ると思います。夫婦が一番やりやすいとは思いますが。
そして、その関係にはきちんとした双方向性が必ずしも成立するわけではないのがポイントです。例えば赤ちゃんを守り育てる母親のように、それが一方通行の無償の奉仕という関係でも、その関係で母親が自分の存在意義を確かめるのは、決しておかしなことではありません。
だから、二次元世界の住人との間でも、それはそれで成立すると思います。それは、ある種の宗教における神様的な存在との関係と同じものです。
二次元世界の住人や神様的な存在は、熱烈なファン=信者の支持がなければ存在を維持できない、とても儚い存在です。自分が熱烈に支持する度合いに応じて存在感が大きくなるという意味では、鏡のような存在でもあります。
大切にしようともがき続ける自分の姿が鏡に映るのを見て、そこに自分の存在意義を見出すのです。信者である自分たちが必死になって大切にしないと消え失せてしまう存在だからこそ、それが存在し続けること、もがき続ける自分の姿を映し出し続けてくれることに、自分の存在意義を見出すのです。
それはいびつな関係ではありますが、別に珍しい関係ではありません。
そして、それがいびつな関係であることをきちんと自覚しているという点においては、二次オタほどしっかりしている人はいません。
無償の奉仕なんて、明らかにいびつな関係です。だから、そのいびつさを補正するための仕組みが必要になるのが普通です。しかし、二次オタは、一方通行の関係であることを骨の髄まで理解しているので、いびつさをそのまま受け入れることができます。
しかし、それ以外のいびつな関係においては、なかなかそこまで割り切ることが出来ないものです。例えば、宗教においては、その教義の多くの部分が、神様的な存在との一方通行な関係のいびつさを補正する仕組みそのものだったりします。「魂の救済」とか、そんな理屈で補正するわけです。
子育ても無償の奉仕であり、いびつな関係なので、やっぱり何らかの補正の仕組みが欲しくなります。また、夫婦など本来は双方向な関係においても、双方向のバランスが一時的に崩れたりして、いびつな関係になることもあるのが普通です。
ということで、何だかんだでいびつさを補正する仕組みがあちこちで必要になってくるのですが、往々にしてここで間違った仕組みを作り上げてしまって、せっかくの関係を台無しにしてしまいます。
いびつな関係でも、そこに自分の存在意義を見出せれば、それで十分のはずなのに。
そんな子育てという関係のいびつさと、うまくつきあうための魔法の言葉を、わが家では開発しました。
「曲かけちゃうよ!」
もしくは、
「曲かけちゃってるね!」
という言葉です。
いびつな関係を補正するための「物語」を意識的に受け入れて、その「物語」に踊らされることを「敢えて」選択するという意味です。
例えば、
「市の体操教室のイベントで、明らかにうちの子がずばぬけていたんだよね!これは曲かけちゃうよ!習い事いろいろ通わせちゃおうかな♪」
みたいな感じです。
子育てという一方的な奉仕の場において、親という唯一無二の存在であることに自分の存在意義を見出せれば十分とするのが筋です。しかし、この場合は、「才能豊かな我が子を立派に育て上げる立派な親」という物語まで上乗せして気持ちよくなっちゃうのもいいかもね♪ということを、高らかに、でも自嘲しながら宣言しているというわけです。
他にもいろんな物語が、世の子育てには上乗せされています。「この子を医者にする使命を果たす母」とか、「少なくとも自分以上の学歴を子どもに獲得させるという使命を果たす母」「オーガニックな子育てで人体が本来持っている力を大切にしてあげる母」「誰もがうらやむオシャレでかわいい子どもの母」などなどです。
そういった物語は、結局すべて、子育てという無償の奉仕のいびつな関係を補正するための仕組みなんです。突き詰めていくと結局は親の勝手なんです。いびつな関係を補正するために、更にいびつな補正の仕組みを作り上げているだけなんです。
でも、それを全否定するのは現実的ではありません。二次オタのように、その関係のいびつさをそのまま受け入れることは出来ないのです。対象である子どもが、なまじ現実の意思ある存在なだけに、どうしても何かを期待してしまうのです。
親も所詮は人間です。人間はそんなに強くはありませんし、欲張りな生き物です。それが親の勝手だとしても、無償の奉仕という関係の上に余分な物語を上乗せして、そのいびつさを補正しなければやっていられないこともあるのです。それはそれで良しとするのが現実的です。
ただし、それを自覚してやっているのと、子どものためであると本気で思い込んでやるのとでは、大きな違いがあります。親が自分のためにでっち上げた物語なのに、その物語と我が子との相性があまりにも悪かったときに、自覚してやっていれば、さっさと撤退できるからです。
だから、うちの妻は、それが自分勝手な物語であるときちんと自覚するためと、いざという時のストッパーとして私に機能してもらうために、
「曲かけちゃうよ!」
と宣言するわけです。
また、こういう物語は、自分でも気付かないうちに踊らされてしまっていることも少なくありません。だから、そのことに気付いた方が、
「曲かけちゃってるね!」
と自覚させるわけです。
けっこう複雑な概念を、「曲をかける」という単純な用語に落とし込んで、夫婦の間で共通理解しているというのは、とても便利ですし、ふたりだけの言葉という感覚が妙に一体感を高めてくれるのでオススメです。
そんなこんなで最後に、わが家の教育方針を箇条書きにまとめてみます。
ということで、思いのほか長くなり過ぎてしまいました。
最後までおつきあいいただいた皆様、ありがとうございます。
長々と乙。 増田はさだまさしを少しかじったことがある、まで読んだ。
無償の奉仕なんて、明らかにいびつな関係です。だから、そのいびつさを補正するための仕組みが必要になるのが普通です。しかし、二次オタは、一方通行の関係であることを骨の髄ま...
あれだけPerfumeは好きなのに、見られる自分を意識的に動かしていけないんだよね (奉仕的な投影は得意でも
ひまそうだねー。
>関係は必ずしも双方向ではないのがポイント 子育ての日常(行動面)からは一見そう見えても、赤子もかなり早い段階から、こちらを意識した動きを見せるようになる (情緒的なものも含...
あなたも私も自分探し病 あなたに漠然とした質問をひとつします。 深く考えずにとりあえず答えてみてください。 「答えはどこにあると思いますか?」 本当に漠然とした質問で戸惑...
最初の質問に「知りません」と答えたので、もう後は読んでません。
平凡な女が旦那をうまく操縦して 経済的に安定した家庭と主婦の座を確保したって話?
「答え(=「存在意義のある自分」)は、どこにあると思いますか?」 という質問に改めて答えるならば、「大切な人と自分との間」にあるといったところでしょうか。 大切な人が...
最近就職活動をしていたが、まさにこんな感じだったな。 誰も彼もが自分探し病で、就職に関して出回る情報もそれを全力で煽ってた。 「自分探しってあほか、なんの宗教だよ」とバカ...
綺麗な女は全てを手に入れる、まで読んだ。
http://anond.hatelabo.jp/20080714231603 ↑この元増田は http://anond.hatelabo.jp/20080715002131 の嫁のような人に説教されたのかもしれないねぇ。 と勝手にエスパー。
読みました。で、いくつか疑問点。 時代背景はわかる(割とフィットしている) けど、能力が足りなくってできない人(サプリが必要)や、大切(だった)親や友人、社会の人との(何年がか...
なぜかこの文章に嫌悪感を覚える
結構目から鱗な話だなー。 自分探し病ってのは、確かにあるんだろうし、現代の若者の多くがそれを煩っているのは分かる気がする。
あいのりが青春時代という時点で多分同世代orそれより下だと思うけど、 それだと「私を幸せにしてくれるの?と問い続ける妻」に猛烈な違和感が。 少なくとも自分が学生の頃は、既に...
正直「答えは自分の中に」が「答えは大切な人と自分との間に」にシフトしただけで そこにあんまり差を感じられない。 成長を感じられない、のほうがニュアンスあってるかも。 「答...
「大切な人と自分との間」に自分探しの答えを見つけたとしか読めないんだけどな。 このことに満足していて良いのかってことを感じなくなったってことは 単に自分探しを止めただけな...
>「答えはどこにあると思いますか?」 どこにもない。
「答えはどこにあると思いますか?」 なんの答え?
あいのり世代(笑) この言葉が出た時点であまりにも胡散臭くて読むのを辞めた。
ちなみに「あいのり世代」って何歳くらいなの? ガンダム世代とかはよく聞くけど。
立正佼成会の冊子と同じ文面だな。
これと同一の文面であるように思える。こっちは5月12日付けだな。 http://beauty-and-akiba.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_5a25.html
なんだこいつ。 こいつの人生のあらゆる価値観は美人妻に劣後するようだな。 やっぱ美人は全てを手に入れるな。乙。
最近は一回りして、人並みだが堅実な人生設計の価値が再認識されはじめている気もする。 それはさておき、この奥さんはいい奥さんだと思うよ。父親はやんちゃ坊主でも母親がしっか...
それはさておき、この奥さんはいい奥さんだと思うよ。父親はやんちゃ坊主でも母親がしっかりしてるから、子どももしっかり育つよ。きっと。 大人になっても「幸せは他人がくれる...
いつの世も、君の言う「10代」が世界を変えてきたんですよ。 まぁ「そんなの関係ねえ」とこじんまりと小さくまとまって生きるのは庶民としては正しいけど。
庶民として生きることの価値が見直されてきたってことだね。
10代じゃなくても世界は変えられるよ。 いくつになっても情熱を持ち続けることはすばらしいことだよね。 ただ、今言ってることはそういうことじゃないんだけどな。
10代じゃなくても世界は変えられるよ。 いくつになっても情熱を持ち続けることはすばらしいことだよね。 ただ、今言ってることはそういうことじゃないんだけどな。
http://anond.hatelabo.jp/20080715002131 人に乗っけて運んでもらう人と、それを引っ張りたがる人、お似合いの夫婦です。 共依存にならないようにね。
「擬似問題病」とでも言い換えた方がいいな。これに対する反応でfinalvent氏が簡潔明瞭な回答をしてるのね。 増田に釣られるものの(前編) - finalventの日記 方法論の適用 これには本当...
Q「答えはどこにあると思いますか?」 A「自分探しの?カラオケのレパートリーにしてる歌の中。」 自分探し終わったらレパートリー増えないなー。
冒頭の問答が意味不明だったけど、 「答え(=「存在意義のある自分」)は、どこにあると思いますか?」 ああ、なるほどね。 「答え」と聞いて「自分の存在意義」が真っ先に思い浮...
そもそも最初の問いかけに「自分」と「分らない」以外に選ばれがちな回答ってあんまないでしょ。 スナオに教育受けてきて情報に耐性のないオタが、新書を読んで触発されて書きまし...
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