2008-07-07

匿名ゲームで遊ぼう

 

ゴトリ。

自分の歩く音が、そんな風に聞こえる。

ある一室の前で立ち止まった自分。

そういえば外に出たのは久しぶりだった。

先週末からずっと引きこもってゲームばかりしていたからな。

遊んでいたのはもっぱら、最近仲間内で送りあっているミニゲームの類で、

たぶんパソコン部の連中かなにかがつくっているんだろう、

いつも適当なつくりで、タイトル音楽が抜け落ちているものが多かったが、

暇つぶしには十分だった。

昨日尾高先輩から送られてきたニューゲームも、そんな名も無きゲームのひとつだ。

プログラムバグがあるのか、名前すら化けている始末だが、

昔なつかしのファミコンRPGで、音楽もなかなか味わい深い。

週末はすっかりはまり込んでしまった。

どうやらそれはゲーム転送してきた先輩も同じらしく、ここ数日顔を見かけていない。

しかしどうしても先に進めない箇所があり、直接先輩のマンションに聞きにきたというわけだ。

なにせパソコン部のつくるようなゲームだから、ネットに攻略法は載っていまい。

だとすると同じくらいゲームを進めているはずの先輩に聞くのが一番だ。

本当は電話で済ませたかったのだが、いつもどおりお客様の都合によりお支払いされていないようだ。

まあ借りていたDVDもあるし、ちょうどいいか・・・

そう思って、暑い日差しの中マンションの一室までやってきたというわけだ。

しかし、なぜだろう。

妙に足取りが思い。

先に進みたくて気が焦っているはずなのに、

まるで体が何かの危険を感じているかのように、

前に進まない。

ガチャリ。

ようやく扉の前までたどり着いたが、鍵がかかっている。

なんてこった。

コンビニにでも行っているのだろうか。

ガチャガチャ・・・ゴトン。

そう思ったとたん、先輩の家の鍵が空いた。

呼び鈴も鳴らしたんだから、返事くらいしてくれたらいいのに。

部屋の奥からはあのゲームの音がする。

やっぱり先輩もやっていたんだ。

これでやっと先に進める。

ゆっくり、またゴトリと、重たい一歩を踏み出す・・・

累々とした未来に、そのときはまったく気がつけずにいた。

さしずめそれが逃れられない死に向かって一本道の、

ナナシノゲエムだということに。

いっしゅんも、そう、ほんの一ドットたりとも・・・

体験版の配信は、明日7/8までです)

http://www.nintendo.co.jp/ds/ds_station/dl_service/index.html

http://www.nintendo.co.jp/wii/features/minnano_nintendo_ch/index.html

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