友人が経験した話。
終電まであと数本はあったというその夜、
友人が電車に乗りこみ何気なくホームを見ると
突然、ホームを歩いていた女性が崩れ落ちるように倒れこんだ。
電車に乗り込む人が数人。実際、倒れた姿は酔って転んだだけのようにも見える。
しかし起き上がる気配はないし、何より倒れ方が普通ではなかった。
(こんなにたくさん人が見てるのに……誰も行かないのかよ!)
終電まで余裕があった友人は一度は乗った電車を降りて、彼女に駆け寄った。
「大丈夫ですか!」
「ハア…」と息も絶え絶えに言うのみ。
そこへ一人の女性が通りがかり「大丈夫ですか?」と声をかけた。
友人は彼女に
「意識がハッキリしていないみたいです。駅員を呼んできてもらえますか?」
と言い、離れたところにいる駅員を呼びに行かせると、とりあえず
彼女に声をかけ続けた。
そうしているうちにやっと一人、二人と人が集まってきた。
その中の一人の中年男性がいて、
「どうしました?」と友人に尋ねた。
「急に倒れたんですよ!」と友人。
「このままにしておいたほうがいいね」と言い、駅員の到着を待った。
駅員が到着する間、ほんの1,2分の時間がとても長く感じられたという。
そして友人は駆けつけた数人の駅員に「ちょっとそこ、どいて!」と野次馬扱いされ、
やや乱暴に突き飛ばされる。
(まあ、しょうがないか。こんな格好だし)
役者のはしくれとして舞台に立つ友人は、その日も稽古の帰り道。
もともと強面であるがゆえに、とてもガラが良さそうには見えない。
友人は誰にも気づかれないように、本当に野次馬のように
そっと現場を離れたとき、一人の駅員が肩を叩いた。
「ありがとうございました。」
駅員を呼びに走った彼女が、友人のことを駅員に教えたらしい。
「いえ……当然のことをしたまでなんで」
友人は口ごもりながら、ちょうどやってきた電車に乗り込んだ。
友人が得た教訓。
終電が近いと、人の命は軽んじられる。
けれども誰かが動けば、必ず追随する者は現れる。
そして、人は見た目で判断される。
ひとつだけ。 見た目は関係ない。同じことをしていたのが立派な身なりのスーツの親父であっても、緊急救命の可能性があればそこにいる人間は「邪魔だどけ」です。悪いけど。 ご友...
関係ないけど、イギリスに行った時、ヒースロー・エクスプレスに乗ったん。 んで着いた時切符を探すと見つからなくて、失くしちゃったみたいで。 うーん困ったなあ、と近くにいたメ...
なんでこういうとこでマウンティングするかなあ。 役者のはしくれとして舞台に立つ友人は、その日も稽古の帰り道。 金髪によれよれのシャツ、はき古したジーンズにサンダル。 も...
性の悦びおじさんはそうして殺されたんだよね