たまクリエイターでもないのに、なぜかクリエイターが搾取されているという人たちがいる。例えば
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51071216.html
http://d.hatena.ne.jp/mkomiya/20071117/p5
とか。だいたいこういう人はクリエイターが搾取されていることにして著作権侵害を正当化し、なおかつそうした不公正な体制を崩そうとしている正義の使者を気取っているのだと思うのだけど、こういう人によれば日本は「中間搾取」なるものがひどいらしい。だから印税について調べてみたが、やはり10%とというのは普通であるようだ。分類によっても変わるが仮にペーパーバックとハードカバーで分類するなら、ペーパーバックで6-10%、ハードカバーで10%から15%。小売価格と卸売価格でもかわり、小売価格だと8%から10%、卸売価格だと13%から16%らしい。卸売り価格は小売価格の60%。ただしこれらは目安であって、5%という印税率になることもあるらしい。
ソースはこちら
http://www.caderbooks.com/pubfaq.html
http://www.ivanhoffman.com/royalties.html
http://www.fonerbooks.com/contract.htm
出版社が搾取しているという根拠には社員が高給であることが上げられると思うのだが、幻想だろう。高給なのはごく一部中小企業では400万円から500万円。
一方、中小規模の出版社や雑誌・書籍の制作を請負う編集プロダクションは、30歳で400??500万円ほど。
http://ranking1.nobody.jp/salary/tv.htmlしかも高給な講談社などであってもそのうち300万円以上は残業代。
小学館、集英社ともに30歳代後半で平均年収は1000万円を超える。残業の多い編集者などでは30歳で1000万円を超える人も。残業の少ない部署と比較して年収で300万円近く差がつくこともある。
同上社員が高給だから搾取しているなんて、鳥山明は儲けてるから漫画家はすべて金持ちっていてるようなものだろう。だいたい講談社とかメジャーなところは「現代」や「non・no」など主に社員が書く雑誌で稼いでいるのだろうし。以上を踏まえると10%という印税率は搾取されているとはいえない。
ただ基本的に市場が効率的である限り、中間搾取を試みる人間がいても搾取は存在しない。例えば搾取の代名詞である派遣業で考えてみよう。仮にAさんがいて、その労働の価値が時間当たり2,000円であったとしよう。しかしながら現在1,000円搾取されていて、1,000円しか得られていない。ここで中間搾取を試みる人間がいればAさんに時間当たり1,500円を提示し自分は時間当たり500円を中間搾取することを考え、Aさんに提示する。Aさんは1,000円から1,500円にアップするのでこの提案に乗るだろう。ここで終われば搾取は存在したままだが、話はここで終わらない。ここでまたAさんから中間搾取を試みる別の人が出てくる。彼は例えばAさんから250円中間搾取することを考え、Aさんに時間当たり1750円の給与を提示する。Aさんはこの提案にのり、派遣会社をかえるだろう。こうした話はAさんが中間搾取されている間は続く。こうした話が続くと究極的には中間搾取がなくなる。中間搾取を試みる人間がいても搾取は存在しない。というよりも中間搾取を試みる人間がいるからこそ搾取は存在しないのである(ただその調整過程では中間搾取は存在し、現在それが問題になっているといえる)。
知り合いのノンフィクション作家が 出版社から契約金2000万円貰ったって言ってるの聞いてると アメリカってすごいなって思うのと同時に 日本人ってクリエイターに金も賞賛も出し...