旅行で得たものは大きかったし、いつかまた同じ国に行きたいとも思う。但し、一ヶ月間の旅行のために費やした一年間は、何だったんだろう。バイトに明け暮れて、アパートでは眠ってばかりいて、給料から家賃や生活費を引いて残った金をこつこつ貯めて、航空券だけで二十二万円が消えて、立派な十万円の自転車を用意して、滞在費もろもろで更に掛かった。これだけの金を稼ぐために何百時間と働いて、本当は、こんなことしてる場合じゃないと常に思いながら、目標に邁進する自分という像を作りあげて酔いしれながら、
一年間、何一つとして成長が無かった。旅行の計画さえなければ、たとえば車の免許を取ったり、何らかのかたちで成長を実感できていたかもしれない。でも実際のところは、旅行に関すること以外で知識を蓄えることはなく、たとえば洒落た服をまとって身なりを整えることもなく、食費を切り詰めたせいで気力がなく、何事にも無関心で、完全に引きこもりと化し、寝転がって壁を見つめたり本を読んだり、時々思い立って自転車で飛び出し、日帰りで二百キロ以上も走ったりなんかしていた。つまり俺は生活を営めない人間だったんだと思う。普通に食事をしてテレビをみて街に出かけて買物をしたり遊んだり、映画をみたり人に会ったり喋ったりということに関心のない、ひどく無愛想なやつだった。多分。
どこで間違ったんだろうな。旅行は面白かった。四十キロのキャンプ道具を積んだ自転車で坂道を駆け下りると、速度計が時速七十八キロを指していて、慌てたけれどブレーキをかければ死ねると思ったから、必死で堪えた。そんな無茶をやっていたら、数日後に変速機が壊れて、自転車ごとヒッチハイクして目的地まで辿り着いた。そこは北極海に面した小さな町で、シロクマが徘徊しているためにキャンプできず、ホテルで十日ぶりのシャワーを浴びながら「あーお金が流れていくーー」と心配ばかりして、ちっともくつろげなかった。旅行に来るために節約生活していたのに、旅行でも切り詰めるなんて、と矛盾を感じた。
日本に帰ってきてからは、再び茫然自失として壁を見つめたり本を読んだり、けれど今後数年は旅行になど行かなくていいな、普通に生活を営めるようになるまでは、そう考えて「普通の生活」とやらを模索し始めたところ。何をすればよいのか判らないが、とりあえず料理をしたり、本格的に珈琲を淹れたり、まあまあ愉しんでいる。でも、生活が難しいのは、旅行と違って到着点がないからだと思うんだ。先日のアレは「北極海まで行くよ!」とか一応は目的を定めて行くんですけど、程々に生活を愉しむってのは、何をもって到着とすればよいのか。というか「珈琲うめー!」で終わりじゃないのか。もっとうまい珈琲を!とか思わない。本当、俺、生活できない、どうしよう。
程々に生活を愉しめないとなれば、何か旅行に代わる目標を見つけるしかない訳で、目下のところはアサヒカメラの月例コンテストで賞を獲ろう、とか決めてなんとなく暮らしている。目標を決めたからといって、それに向かって邁進する必要も多分ないんだと思う。息切れしない程度に。
「1ヶ月の自転車旅行をするのに1年間もバイトしてお金を貯める必要はないと思うのだが。1年もかけて何をやっていたのだ?」とブクマコメントを頂きました。全くその通りなんで俺も同意しますが、詳細は以下の通り。家賃二万三千を含めて生活費が五万、バイトの月収が八万、差額の三万×十二ヶ月=三十六万。基本的に引きこもりだから、これ以上は働きたくなかった。ていうか本当、一年もかけて何をやっていたのか。逆に、今後一年で何ができるだろう。
正確に書くと、スプロケットに泥が詰まってチェーンが引っかからなくなり、ディレイラーが回転するスポークに突っ込み、ディレイラーハンガーが曲がった、となります。シングルギアにしてチェーンを詰めてはみましたが、簡単に外側へ外れてしまい、まともに走れる状態でなかった。
そうそう、到着点を持とうなんて必死に努力しなくていいと思うよ。 自ら作り上げなくても、いつかみんなに等しく訪れるんだから。 だけど壮大な旅行を計画し、実行に移し、達成した...
十分に旅行を満喫してるように見える。 増田は他者評価がないと満足が得られないってタイプの人ではないだろうか?
お疲れー。 気が抜けちゃったんだね。このタイミングで考えすぎてはダメだ。本当に戻ってこれなくなるぞ。貴様はまだ旅から戻ってきていないんだ。 もちろん、一生旅を続けても良い...
これみて 「あーーーーーーーーーーーーー金って大事だ……かね欲しい」 とおもった
ちょっと話がずれるけど >食費を切り詰めたせいで気力がなく これ大事ね。いつもだりーって感じの人はまともなものを食べてさえいれば生まれ変われるよ。 最近やっと原因がわかっ...
って安藤忠雄も言ってるじゃないか GREE の田中社長も貧乏旅行してたみたいだし。 http://anond.hatelabo.jp/20071004000332
http://anond.hatelabo.jp/20071004000332 今年の春休みに中東を貧乏旅行してきた。 最初の2、3日はまだ旅に慣れなくて楽しめなかった。 次の5日間は旅に慣れてすごく楽しくなる。 そして最...
http://anond.hatelabo.jp/20071004185615
バイクで寿司を宅配するバイトを二年弱やっていた。時間の経つのが早くて接客も面白く、稼ぎがいいから長く続けたけれど、苦痛に感じることも少なからずあった。一つは、自分の運転...
http://anond.hatelabo.jp/20071008043352に触発されて。 音が無い風景も、音がある風景もどちらも楽しめるといいよね。 自分しかいない道路で、自転車のチェーンが変速する音を確かめて。 社用...
はじめて増田します、おかしなところがあったらごめんなさい。 音から逃げる http://anond.hatelabo.jp/20071006044748 音と自転車 http://anond.hatelabo.jp/20071008043352 にとても共感しました。 「音から...
たとえば「音」が「色」として感じられてしまう人がいる。ドの音は青、とか。レの音は黄色とか。そう感じられる人に取っては説明するまでもない位当たり前なことだけど、感じられな...
anond:20071009162644 わたしの仲間内でもよく温泉のお風呂に流れている音楽いらね〜よ、なんて話題になります。 あなたみたいな方はそう少数派でもないと思いますよ。 もちろん病気などの...
僕は好き嫌いがないから偏食のある人の気持が解らない。同様に、どんな音楽でも聴き入れる、または聴き流すことのできる人は、僕の言うことを理解できないのだろうなと思う。 僕自...
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派遣社員・契約社員・パート・アルバイトなど非正規雇用者が、全労働人口の3割。 彼らの平均年収を仮に200万円としようか。バイトまで含めるのは乱暴だが、あくまで仮定。 一方、...