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と思ったが、辺りの景色や他の乗客の姿からすると、やはりここは現代のようだ。
「あの、何か御用ですか?」
不意に、彼女が話しかけてきた。
父と母、二人に同時に見つめられ、頭の中が真っ白になってしまった。
「あ、いえ、何でもないんです。すみません」
よく覚えてはいないが、こんな感じのことを言って普段降りる駅よりも一駅前で電車を飛び降りていた。父と母によく似た人が乗った電車は何ら待つことは無く、そのまま発車し視界から消えて行った。
深呼吸をして改めて周りを見回す。
電車に乗っている時はあんなにも普段と違って見えた景色も今は色を取り戻し、なんでもない午後の姿をしていた。
僕はなんだかもう一度電車に乗る気にはなれずに、そのまま一駅分歩いて家まで帰った。
「おかえりなさい」
家に帰ると珍しく母が出迎えてくれた。今日は仕事が休みだったのだろう。その母の姿は年齢通りの、いつもと変わらない母だった。
ただいま、そう言おうとした時に母がこうつぶやいた。
「そうだわ、確かにあなただった」
何が?そう聞き返すと、母は嬉しげにこう言った。
「今日ね、お昼寝してたら夢を見たの。お父さんの夢。私もお父さんもまだ若くって、電車の中でなんでもない話をしたの」
そこまで聞いた時、僕の心臓は飛び跳ねた。もしかして今日見た二人は……。
動揺する僕にはかまわずに、母は話を続ける。
「そして電車の中で誰かが話しかけてきたの。すごく見覚えがある人だったんだけど夢の中ではどうしてもその人が思い出せなくて。で、今あなたを見てようやく分かったわ。あれはあなただったんだって。変な夢よねぇ」
「そしてその夢の中の僕はろくに話もせずに電車から飛び降りて行ったりした?」
僕は母にそう訊ねずにはいられなかった。そして母の返事は、予想した通りのものだった。
「その通りだけど、よく分かったわねぇ」
僕は今日体験した電車の中での出来事を母に話そうとした。でも、何となくそれはためらわれた。父と楽しげに話していた母。その母の姿には、母だけの大事な秘密がありそうな気がしたからだ。だからその代わりにこう訊ねた。
「僕と若い頃の父さんって、似てるかな?」
「そっくりよ。普段は引っ込み思案なんだけど、親しい人の前ではよく喋るところも同じ」
「そうだったんだ。ありがとう」
僕はそう答えて、自分の部屋に向かった。
父ともっとしっかり話して来れば良かった。たとえ緊張してろくに会話にならなかったとしても、もっと話そうとするべきだった。今更になって後悔が湧いてきたが、もう遅い。
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