「ゆきー!早く行くぞー!」
「あ、もうちょっと待って!」
「もう本当に置いてくよー?」
「もうちょっとだから待ってよー!」
「………。」
「せいかちゃん?せいかちゃん!?」
「もう行くから!本当に待っててね!」
「わかった。わかったよ。」
せいかちゃんは私と違って準備が早いからいつも私が待たせてしまう。他にもいろいろと違ってて、例えば私は体育で2以上取ったことない運動音痴だけど、せいかちゃんは陸上で県大会に出るくらい運動神経抜群だし、私は極度のあがり性の上人見知りだけど、せいかちゃんは誰とでもすぐ仲良くなれるし、他にも他にもいっぱいあるんだけど、せいかちゃんと比べると落ち込むからそれくらいにしておこう…
だからせいかちゃんは私の理想で、憧れで、そして私の一番なんだけど、でも、多分せいかちゃんは違う。家がお向かいさんで、せいかちゃんとは小さい頃からお友達で、学校もずっと一緒だったから、朝は迎えに来てくれるだけ…
学校に行けばせいかちゃんはみんなの人気者で、みんながせいかちゃんを大好きだから…
私はその中の一人で、たまたませいかちゃんと昔からのお友達ってだけ…
でも、私はこの時間が一番好き。だって、せいかちゃんを独り占めにできるんだから。だから、学校までの20分は、他愛もない話ばかりだけど、私にとって何よりも大切な時間…だった。せいかちゃんのあの言葉を聞くまでは。